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カテゴリ:変則書評:『ローマ人の物語』
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塩野七生著『ローマ人の物語』(6) 勝者の混迷(上)(新潮文庫) 読破ゲージ: ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ *********************************************************** 勝者の混迷。いいタイトルだ。然り、平和や安定が手に入ると、最も厄介で恐ろしい敵は内側に出てくる。内側の敵は、まさに上を下へのカオス、混迷を引き起こす。ローマ社会に、社会不安。富の格差が生まれる。富める者がますます富んだ末の二極化。失業対策が次々に講じられる。古代ローマの人々にとって、失業は、経済基盤を失う以上の意味を持った。いわば、存在理由、人間としての尊厳を剥奪されるに等しかった。職=プライドを失業者に取り戻す為の改革は、“悲劇の兄弟”ティベリウス&ガイウス・グラックス兄弟によって推進される。命がけの抜本的改革は難航。英雄の時代は終焉。やがて、時代は“役者”の時代に。方や、老獪にして百選練磨の役者、ガイウス・マリウス 。方や、威風堂々たる千両役者、ルキウス・コルネリウス・スッラ。方法は正反対なれど、ローマのために身命を捧げる二人の熱演が、やがてローマ史上初の血塗られた抗争へ発展するとは、この時は誰も知らない。歴史家モムゼンが「ローマが生んだ唯一の天才」と評したガイウス・ユリウス・カエサル、ジュリアス・シーザーが誕生する。(了) ローマ人の物語(6) ■「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/09/16 02:53:58 PM
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