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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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テーマ:たわごと(26890)
カテゴリ:雑記、手記
 麻生内閣スタートから、早くも問題続出だ。といって、麻生内閣スタート前夜から、激しい権力争いで見るも堪えないニュースばかりであった。
 一連の騒動や今まさに世間を議論に巻き込んでいる事態に何か物申すつもりはない。ただ、いつも私は思うのだが、民主主義の誇りはどこに行ってしまったのか、ということだ。
 常に国民の視線に晒され、足し算ではなく引き算でしか評価されない政治の世界を、かつて私は「国政そのものが“神経症”になってしまっても仕方がない。気の毒だ」と書いた。また、北京オりンピックの総括では、「スポーツにおける国際的な舞台もパワー・ポリティックスの場だ」と書き、「オリンピックで日本を応援するように、それ以外のことにも応援の気持ちを忘れたくないものだ」と書いた。無論、日本の政治についての言及だ。
 仮に、平成になってからの20年を振り返っても、日本の国政の行方を握るトップはめまぐるしいほどに変わった。これでは、クーデターの頻発による政権交代の激しい政情不安定な国家と、国際政治の舞台で見なされても誰も文句が言えない。
 日本において、政権交代は、より良い国政・国の舵取りのために、正常な政治意識がなさしめた理想的な民主主義の発露だと言いたげな人もいるかもしれない。事実は、器量の狭い権力闘争に過ぎないのだが、ではそれに対して国民のすることと言えば、頭ごなしに、吟味もしないでただ“新参者の指導者”を叩く新人いじめ。お茶の間的なレベルでの感情的で偏見に満ちた揶揄や、拙い正義感から出た批判ばかり。
 政治的ポリシーに基づいたものならともかく、玉石混交の情報に左右された流言蜚語への追従でしかない。
 政治家同士の争いは論外で、取り澄ましてはいても結局は野心と野望、権力への渇望でしかなく、責めるものと責められるもののどこに違いがあるのか判然としない。本当に、最初に石を投げられる政治家がいたものだろうか。
 民主主義の夢は、いまや「民主主義なき衆愚政治」の様相を呈している。民主主義を堕落させたのは、ひとり政治家のみのせいでなど断じてない。
 民主主義を貫くならば、新しく生まれた政権を、しばらくは静観することも必要だ。そして、国民の理解で国政そのもの、国家そのものを育てていくという発想を取り戻さねばならない。それが民主主義の世界に住む我々の誇りであり、その余裕こそが民主主義を掲げる人の矜持となるべきではないだろうか。(了)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/09/29 01:35:13 PM
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