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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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テーマ:お勧めの本(7340)
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塩野七生著『ローマ人の物語』(33)
       迷走する帝国(中)(新潮文庫)

読破ゲージ:
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長期的展望のない政治的指導者のめまぐるしい変化は、政体そのものを衰弱させる。あるいは、衰弱ゆえのすげ替えなのか。マクシミヌス・トラクス(トラキア人)皇帝即位。羊飼いをルーツに持つ、言わばカウボーイ皇帝。若い頃から武勇伝(軍団兵相手に力比べ、16人抜き)には事欠かないこの男、強要はなかったが、怪力と素朴さで、たちまち兵士たちの人気者に。時の皇帝セヴェルスの目にとまらないはずがなく、以来セヴェルス一家への忠誠誓う。ゆえに、ヘラガバルスの時代には冷や飯を食うも、孟祖母ユリアの進言で、その武勇を買われて大隊長に。御代変わってアレクサンデル/セヴェルスの時代、軍団で訓練係の長に大抜擢。ここでもそのビリー隊長ばりの熱血指導で人気者。アレクサンデルの後に、兵士たちによって担がれるのも当然のなりゆき。ゲルマン相手の戦争を引き継ぐや連戦連勝。が、元老院はこの品格なき皇帝の戦勝報告に不機嫌。一方で、アフリカ属州で、徴税をめぐって財務官殺害事件起こる。さらには公権力への蜂起へと発展するかに見えた矢先、配慮の総督ゴルディアヌス、農園主らより皇帝への即位を持ちかけられ、暗雲。家柄も良く、財力もあったゴルディアヌス、「トラキア男」を嫌悪していた元老院の不満爆発の力にも推されて、皇帝に。現職皇帝マクシミヌス、寝耳に水。あれよという間に「国家の敵」に。帝国の安全を取戻すに功ありと自認するマクシミヌス、失意の深酒。猛る兵士を煽って、首都ローマへ進軍開始。内乱突入。こうして、帝国は「一年間に5人の皇帝」の時代へ。皇帝マクシミヌスの意気軒昂、皇帝ゴルディアヌスを自死に追い込む。元老院、パニック。慌てて皇帝二人(パピエヌス、バルビヌス。二人とも元老院議員)を立てるも、結局ゴルディアヌスの孫・三世、13歳の次期皇帝を押えて、元老院のメンツを優先しようと画策。戦では負けなしのマクシミヌス、動揺をつけこまれた兵士の手によって、天幕に討たれる。が、帝国に平和は来ない。今度はパピエヌスとバルビヌスが仲違い。人望の人・パピエヌスと、高貴なる趣味人・バルビヌス、要は元老院のコントロール力不足による反目。皇帝二人の益なき争いに、当の兵士たちがマキスミヌスを殺したことを悔いて、パペエヌス、バルビヌス、抵抗の暇なく殺される。元老院も、遺体を目にして初めて返事に気付く有様。ハドリアヌス言、いつも分裂しているが、自分たちに危害が及ぶと一致団結する。それが元老院。ゴルディアヌス三世の治世スタートは、功臣ティメジウスを得てまずまずの滑り出し。事実上の政務担当者、内政にも業績あり。ティメジウス、治世三年目には近衛軍団長官に。ササン朝ペルシア二代目、シャプール起つ。ティメジウス、これを危機と察知し、早々に対応。ペルシア戦役準備に実務家の面目躍如。ローマ軍復活の狼煙。北部メソポタミアで、ローマ優勢のうちに勝負決すると誰もが疑わなかった矢先、ティメジウス突然死。病み上がりと呼べたローマ軍、その場で再び瓦解。事態収拾に協力しない近衛軍団長官フィリップス、買収した兵士を使ってゴルディアヌス三世を殺害。知らぬ顔で皇帝に即位。アラブ人の皇帝誕生。皇帝フィリップウス・アラブス、元老院をおだてた政策も元老院には好評。シャプールと講和に持ち込み戦役決着。再復したメソポタミア、早々に放棄。三世紀のローマ帝国の特徴、それは政略面での継続性を失った点。この皇帝の御代に、ローマ建国一千年祭が開催される。元老院にはウケたが、前線には顔を出さない皇帝、兵士には不評。兵士に信頼厚いデキウス、密かに皇帝擁立の打診を受けるが、これは危険と皇帝に注進。が、フィリップス自身がデキウスを疑い、デキウス討伐を決意。が、この軽挙に着いてきた者はゼロ。自下の兵士にまで見捨てられ、デキウス軍と戦う前に自死。あっさりと記録抹殺刑に処される。結果的に、嘘から出た真、デキウス皇帝に。ローマ社会のリペアがデキウスのポリシー。元祖踏み絵である「リベルス」(棄教宣言により発行される証明書)キリスト教徒を迫害した皇帝として名を残すことに。この世の帝国を悪の帝国とみなし、あの世の王国への道を説くキリスト教は、当時の情勢から見て放置できるものではなかったのだ。一方で、デキウス、遠くない属州モエシアまで寄せて来たゲルマンの撃退に着手。全体的には優勢な展開の中で、息子エトゥルスクス落馬を突かれて戦死、これに怒り、復讐の徒と化したデキウスもまた湿地帯に分け入り、足を取られてゴート族の刃に散る。遠モエシア属州(モエシア・インフェリオール)総督にして蛮族相手の戦にも参加していた元老院議員トレボニアヌスが、急遽推挙されて帝位に。算を乱した状況下で急ぐべきは、蛮族との講和。首都に残るデキウスの息子、時の共同皇帝オスティリアヌス、疫病で死去。早くもトレボニアヌス、孤独な皇帝に。内側にも講和への理解者なく、外には弱みにつけ込む蛮族、ゴート族にアレマンノ族。30万人のゲルマン民族、ついに地中海に進出。リメス(防衛線)のみならず、海上のパクス(平和)を破られたローマ帝国、愕然。帝国の不満は、皇帝に向う。共和制時代から続く名門ヴァレリアヌス、皇帝に推挙されてトレボニアヌスと向かい合うも、支持を得られないトレボニアヌスに負けは見えていた。が、この皇帝ヴァレリアヌスもまた、帝国を慄然とさせる前代未聞の呼び水に。まずは手始めにデキウス由来の治安維持法復活。つまりキリスト教弾圧。帝国の危機に、協力を断固拒絶するキリスト教徒への不満は高かった。この頃の一神教徒であるキリスト教が誤解していたのは、ローマ皇帝を神と捉えたこと。が、ローマ皇帝は神ではなく、神格化されても死後のこと。またこの神格化も、多神教的な神への昇格に過ぎず、本来的には宗教色は薄い。このあたりの誤解が、弾圧されるほどに台頭しはじめていたキリスト教会との軋轢を助長。帝国失速により、それでもキリスト教は皇帝ディオクレティアヌスの登場までの半世紀近くを比較的平和に過ごす。そして、ローマ帝国史上最大の恥辱へ。フィリップス・アラブスの講和に足元を見た思いのペルシャ王シャプール、大ペルシア再興に向けて大軍編成。これに立ち向かう高齢なるヴァレリアヌスおよび1万のローマ軍兵士、ペルシア王の捕虜となる。現職の皇帝が敵の手に落ちるのは帝国初。この知らせにローマ帝国全体が茫然自失となった。共同皇帝だったヴァレリアヌスの息子ガリエヌスの採った策は、無常にも、仕方なく、父・ヴァレリアヌスを見捨て、皇帝としての存在を抹消すること。皇帝を人質に取られることほど、政治的な劣勢を強いられることもないのだから、ガリエヌスの非情な決断は帝国崩壊の最後の歯止めとも言えたのだ。(了)


ローマ人の物語(33)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2009/01/20 10:26:43 PM
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