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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ:映画/エンタメ
 毎年この時期同じこと書いてますが、年々、劇場へ足を運ぶチャンスが減少しているような気がします。そして何と、この週末に観に行った『007/慰めの報酬』が、2009年初の劇場映画鑑賞となったのです。いやぁ、長かった二ヶ月。
 もういまさらな記事なのでしょうけど、やっぱり面白かった!!どうも最近のアクション映画は、アクション濫発傾向が加速していて、アクションだけがウリなのに、そのアクションを、延々と長時間見せ続けるという、変な方向に向かいつつあるような。アクションに驚かなくなった観客への、過剰サービスでしょうか。そんな中、もちろんアクションがウリでもある『007/慰めの報酬』は、短めの上映時間が奏功して、キリリと締まったバランスよい仕上がりに。
 主演ダニエル・クレイグの筋肉ボンドもすっかり定着。ムキムキしてて、気になるんですが、でもやっぱり格好いいなぁ。目元の小じわが(笑)。あの筋肉は不評なのかな、今回は自慢のマッスル露出シーンは前作より大幅に控え目(『ドラゴンボール』は無理だけど、『キン肉マン』のハリウッド版実写なら間違いなく合格ですね、この方)。なんか、鈍重そうに見えるんですが、スーツ姿は決まってるし、目の色のせいか、ネコ科のしなやかさも感じてしまう。特に手足が長いとか、姿がイイわけじゃないのに、なぜでしょう。キレがいいのかな、動きの。
 オルガ・キュリレンコの英語は微妙でしたが、語学堪能な前作のボンド・ガール(なのかな)、エヴァ・グリーンとはまた違って、野性味の中に繊細さ(不器用さ)を滲ませる奮闘ぶり。こちらは姿はもちろんお綺麗ですが、なぜかすり足気味の歩き方が気になる(苦笑)。エヴァ・グリーン演じたヴェスパーが、ボンドの対極としての恋愛対象ならば、ボンドにとってオルガ演じるカミーユは、同胞感覚なのでしょうか。だって、ボンドがヴェスパー化していくことが、言うなれば諜報員としての成長になるわけで、この段階ではまだ、ダニエルのボンドは荒削りなんですね。
 ところで、一般には「お色気シーンが少ないボンド映画」と評され、それでもそれがかえって好印象になっていると聞きましたが、どうもそれは本当らしい気が私もします。言ってみれば、ダニエル・クレイグ版ボンドがトライしていることは、「ジェームズ・ボンドの血肉化」なのではないか、と。
 確かに、強烈な印象を残し、まさにボンドそのものとでも呼べそうなショーン・コネリー御大はじめ、ボンドは荒唐無稽な世界観の中を、実在の親しさを備えて暴れまわるのがウケたわけですが、実際にボンド・シリーズに求められてきたのは、観客の自己投影ではなく、より距離のある、科学とマチズモへの憧憬ではなかったか、と。だから、親しみながらも、決してボンドには近づけないという、どこか本質的に劣位に在らねばならないマゾヒスティックな愉悦を、観客たちは同シリーズから甘受してきたのではないか、と。
 しかし、グリッターな世界が憧れの対象ではなく、どこかここには存在しない、虚無的なユートピアに変わった現代、それがやっかみ半分の揶揄の対象にはなっても、リアリティとしては全然対象外になってしまった。そんな背景の中、ダニエル版は“リアルなボンド”の育成を志向しているような気がするのです。ダニエル・クレイグは、架空の人物の受肉という作業を背負っているのかも知れません。
 そうして、「お色気シーンが少ない」「ストイックな」ボンドが冒険をする『007/慰めの報酬』は、本来ウェットになりがちな「被った裏切りと深い愛の喪失」というストーリーを引き続き背負いながら、それらを徹底的にドライに描くことで、感傷に傾けずにより印象的にボンドの傷を立たせることに成功しているのではないでしょうか。超人的なアクションをも観客に納得させ、なおかつ生身の人間としての存在感を感じさせるジェームズ・ボンド。それが、ダニエル・クレイグの仕事であり、彼だからこそなし得るのだと観る者に期待させる。そんな感想を抱きました。常連組のジャンカルロ・ジャンニーニのいぶし銀演技、ジェフリー・ライトの胸のすく男気演技、そしてジュディ・デンチの貫禄と厳格さと慈愛溢れる名演も、ジェームズ・ボンドのパーソナリティ形成にしっかり貢献していました(Mことジュディ・デンチ出過ぎ、との声もありましょうが、リアル・ボンドには“母の愛”もまた欠かせないのです)。ところで、ドミニク・グリーン役のマチュー・アマルリック、阿部サダヲ氏にそっくり過ぎ&コワ過ぎなんですけど。(了)


『007/慰めの報酬』オリジナル・サウンドトラック

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2009/02/25 03:36:07 AM
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