|
カテゴリ:紹介/PR
ちょっと前のことになりますが、今年も第7回国際フラワーEXPOに、ご招待をいただいたので足を運んでまいりました。
どっぷりとフラワー業界にいるわけではない私にとって、この場に招待いただくということは、ある種花を通じて、今の時代、市場の動向から見える社会的な気運やトレンドを掴んでくることかと思っていますが、なんにせよ、花に囲まれるというのは心華やぎ落ち着くものです。 今年は、生花が元気かな、と思いきや、実情はそうでもなく、逆に「もっと元気に!!」という熱気が、昨年と比較して活況を呈しているエネルギー源となっていたようです。 プリザーブドフラワーは、昨年は、雨後の筍のようにたくさんの企業が、主にコスト勝負で勝負をかけていたように感じましたが、今年はだいぶ絞り込まれ、その代わり、なかなかクオリティの高い品が並んでいたように感じます。昨年は、割と大々的に、物量で押してきた感じがありましたが、今年は、ブースの物理的な大きさも含めて、ぎゅっと凝縮してスマートで高級感ある感じで仕掛けてきたような印象を受けました。ディスプレイ一つ見ても、トップメーカーは毎年飛びぬけていますが、新興組も年々こなれてきていて、拡大の時期は終わったかもしれませんが、ある意味プリザーブドフラワー市場が成熟期に入ってきたように感じました。 今年目に留まったのは、やはりプリザーブドフラワーのフロールエバーでお馴染みの株式会社アスクさんのブース。それも、フューネラル(葬送)市場向けのブース。お話をうかがえば、まだまだ本格的な展開にまでは至っていないものの、すでに引き合いやニーズがあるようで、今回、特別ブースを出したとこのこと。このブースが、上品なパープルを基調に、明るすぎず、かといって暗すぎず、実に美しく落ち着いた雰囲気を醸し出していて、好感が持てました。 昨年のレポートでも、私はフューネラルにおける花市場の事業展開のあり方は旧態依然としており、完全にアナクロニズムに陥っていると書いたと記憶していますが、今年は少々雰囲気が違いました。ウェディング市場においても、装花においては、生花とプリザーブドフラワーの併用など当たり前になっている昨今、フューネラルについては相変わらず、大きすぎる壇、同じ種類の花、同じ飾り方、そして今やほとんど目にしなくなった花輪…。黙っていても人はこの世を去るとはいえ、マーケットの潜在性に依拠しているだけでは、本当の意味で「命を送る」という場を創造することができないのではないか、と常々疑問に思っているのですが、ここ数年死生観を問うことが少しずつ認知され出した影響もあってか、生まれ、結ばれることとおなじくらい、死して送られることもセレブレートされてしかるべきだという、己の生き様の肯定の場としてのお葬式というものが、暗くなりすぎず、しかしカジュアルダウンするのでもなく、タブー視するのではなく、もっと真摯に向き合うものとして捉え得られ始めているように見受けられました。 もちろん、命を送るという儀式には、式としての作法、礼儀、文化性や歴史などが包含されており、いずれも軽視するべきものではなく、むしろ重んじて然るべきものです。しかしこれからは、さらにもう一歩踏み込んで、「命」そのものの軌跡をどう扱うか、それも、フューネラルという、あらかじめ形として準備された装置の中でどうソフトを挿入していくかを考えていくことは、等しく生けるものの終焉そのものを逆照射する上で、とても大切な視点ではないかと感じた次第。 「贈る花」「送る花」。そのどちらもまた、表裏にして一、なのではないでしょうか。(了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/11/05 04:46:13 PM
コメント(0) | コメントを書く
[紹介/PR] カテゴリの最新記事
|
|