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カテゴリ:アート
金沢文庫特別展 『運慶』、行ってまいりました。ようやく。って、お目当ての運慶作・大日如来坐像が、会期中盤の2月8日からしか移設されてこなかったので、タイミングを見計らっていたワケですが。
なんせ、昨年の“まほろば紀行・国宝・重文めぐり”で、日程上泣く泣くスルーせざるを得なかった奈良・円成寺の仏像ですから、こうして近場で見るチャンスができたことはラッキーでした。 それと、暖かくなったら浄楽寺の運慶作品も見たいな、と思っていたのですが、なんせ浄楽寺は遠い!!なんて書くと不謹慎ですが、ちょっと今動きがとりづらい身としては、「ホントに行けるかな?」という不安の方が強く。 それが!!この金沢文庫の記念特別展には、なんと浄楽寺の運慶作品、毘沙門天立像(重文)と不動明王立像(重文)まで来ると言うじゃないですか!!なんて幸運なんだ!! とにかく。もちろん目玉である大日如来坐像も拝みたかったのですが、いまさらといえばいまさらなのですが、東京・上野で開催されていた『東大寺の秘宝』展で、ドカーンと頭を殴られるかのように、運慶のファンになってしまいまして。運慶の作品が一挙に見られることが、何よりの馳走という状態。 以前にも記事に書きましたが、改めて、もう運慶作品は、完全に、規制の仏像や仏教彫刻、仏教芸術、日本の芸術史の中でも、異質というか、どれにも染まらず、どれにも取り込まれず、どれにも当てはめることのできない何かがビシビシと漂っているのです。 多分、歴史や仏像、芸術に興味がない人が見ても、「なんにせよ、これはどこか違うぞ」という、違和感に近い衝撃を少なからず受けるものと確信してやまないのです。 それほどまでに、すごい。何がすごいって、その技巧、バランスの作り方、仏像に織り込むアイディア、表情などのディティールはもちろん、像が醸し出す存在感と、どこか、重厚なのに軽やかというか、軽量というか、相反したり矛盾したりするような要素の両立を、それもひそかにではなく、これでもかと、分かりやすく、軽快にプレゼンして見せる。そこがすごいんです。 そういう離れ業を見るとき、彼の作風が“系統は作っても一代限り”と言われる理由が、まさに腑に落ちるのです。当然、一代限りの離れ業なんだから、やっぱりほかの仏像や彫刻と比べると、圧倒的に違和感があるワケです。 その違和感は好もしいものに違いないのですが、いまはまだ説明する言語がなく、どうとも形容しがたいのですが、明らかに一躯の仏像を超えた、空間を左右する“機能”を、それも、拝すべき仏像としての機能とはまったく別の次元で備えているという、運慶なりの自我のようなものに根差した必然的機能美のようなものがあるのではないかと、ますます興味は深まるばかりなのです。 結局、展覧会の図録は買わずに、別冊太陽の運慶特集を、金沢文庫まで行って買ってきたワケですが、そうなっても自分の中でまったくロジックに誤りがないと確信できるほどに、運慶は私を魅了してやまないのでした。(了) *********************** 国宝 大日如来坐像 運慶作 安元二年(1176) 奈良・円成寺所蔵 重文 毘沙門天立像 運慶作 文治五年(1189) 神奈川・浄楽寺所蔵 (展示期間:1月21日(金)~2月27日(日)予定) 重文 不動明王立像 運慶作 文治五年(1189) 神奈川・浄楽寺所蔵 (展示期間:1月21日(金)~2月27日(日)予定) 重文 帝釈天立像 伝運慶・湛慶作 正治三年(1201)頃 愛知・滝山寺所蔵 重文 厨子入大日如来坐像 鎌倉時代初期 栃木・光得寺所蔵 重文 大日如来坐像 鎌倉時代初期 東京・真如苑所蔵 (展示期間:2月8日(火)~3月6日(日)予定) 国宝 金剛力士立像 像内納入品 建仁三年(1203) 奈良・東大寺所蔵 重文 東大寺続要録 室町時代 奈良・東大寺所蔵 重文 舞楽面(陵王、抜頭) 鎌倉時代初期 神奈川・瀬戸神社所蔵 重文 大威徳明王坐像 運慶作 建保四年(1216) 神奈川・光明院所蔵(神奈川県立金沢文庫保管) 重文 東寺講堂御仏所被籠御舎利員数(称名寺聖教のうち) 鎌倉時代 神奈川・称名寺所蔵(神奈川県立金沢文庫保管)ほか(HPより抜粋) 神奈川県立金沢文庫80年 特別展 運慶-中世密教と鎌倉幕府- 神奈川県立金沢文庫 【開館時間】午前9時~午後4時30分(入館は午後4時まで) 土・日曜日と祝日は午後5時閉館(入館は午後4時30分まで) 【休館日】毎週月曜日 ▲写真は、金沢文庫の入り口で薫る梅。 【送料無料選択可!】運慶 時空を超えるかたち (別冊太陽 日本のこころ) (単行本・ムック) / 山本勉/監修 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011/02/25 02:02:00 PM
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