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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ:アート
 「生誕100年 岡本太郎」展@東京国立近代美術館行って来ました。最終日だったので、混雑を覚悟しましたが、意外にスンナリ。混んでいたのは、海洋堂制作による会場限定のフィギュアのガチャ(一人二個までとか)。
 実は私は、あまり岡本太郎が好きではありません。画家自身が作品化してしまうあり方って、どうなんだろう?という思いが抜け切らず、ずっと岡本太郎の偉業に疑問符を付けてきていました。同じ理由で、ダリもまた…なのですが、あそこまで露悪的だと受け入れることができるのです。
 そういう距離感を抱いてきたので、逆にいま、岡本太郎が体現したすべてがやけに新鮮で、ちょっと覗いてみようか、という程度の気持ちで足を運んだのです。結果として、私の中の岡本太郎が大きく変わる、ということはなかったのですが、あの、人間の深奥の原初的な衝動にねじ込んでくる作風は、“子供的な感受性”が枯渇していた私の内側にガンガン入り込んできました。まさに刺激の塊。
 岡本太郎の思想、興味関心、作風の軌跡に沿った展示から、彼の闘いが垣間見えましたし、やはり日本的なアニミズムやフォークロア的エッセンスへと突進して行く思考実験には、昨今の日本人のメンタリティの先駆けを見る思いでした。思えば、高度成長期から欧米志向へと日本人が真っしぐらに進んでいく時代、自らの立脚点を確かめるために、攻めながら立ち止まりもした岡本太郎は、単にアーティストであるというだけでなく、アクロバティックな日本人、稀有な現代日本人だったと言えるかも知れません。(了)


岡本太郎『炎』リトグラフ


カプセル「生誕100年 岡本太郎展」会場限定 岡本太郎 アートピースコレクション 全8種セット(海洋堂)





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Last updated  2011/05/08 08:59:20 PM
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