『二階堂明弘展』@FUURO、行ってきました。陶芸家の二階堂明弘さんとのご縁があったのは、ちょうど昨年春。とあるギャラリーで催されていた個展に足を運んだ時、運命的に出会った作品を通じてのご縁でした。 ただ、そこにあるだけなのに、何とも、涙が出るほどに愛おしい茶碗が網膜から離れず、譲っていただいて以来、一年近くの交流をいただいています。その後も、イベントや個展など、極力足を運んで、二階堂さんの世界観を、もっと自分の内側と引き寄せ合わせていく、という作業を、自分なりに重ねて来たつもりです。 今回の個展は、昨年末の麻布以来。ギャラリーに入ったとたんに、まさに「二階堂ワールド」…と思いきや、実は今回は、さらに作家個人の思い入れやメッセージが込められた実験的な展示が、なんと頭上、二階に!!その名も「あめをうけるうつわ」。テーマに曰く「いま心と体で受け止めていることを、“ものをいれる=受け止める”器を通して表現します」。
なるほど、外光のみが差し込む薄暗い部屋には、「あめをうけるうつわ」の数々が…。中には、数点、満々と水をたたえたうつわも。そっと触れてみると、ヒンヤリと冷たく、水が濾過されて清められ、しみ出してきているような感触。
壁には、作家自身による、この個展の企画に寄せたコンセプチュアルな文章。それを読みながら、一人この部屋で壁ぎわに腰かけていると、知らず瞑想的な気分に、なってしまいます。水の湿度、冷たさ、浸透…そういう悠久な感じや静けさが、思わず人を内省的にしてしまう。
こうした静謐さとダイナミズムを両立する、Movingな感覚というのは、リアリティというバックボーンなしには、おそらく集合意識にまで昇華しないのではないでしょうか。静かな力強さに包まれます。以前お話しされていたように、土への回帰が深化しているという印象も受けました。 二階堂さんの作品と出合い、折りに触れてその作品の数々を愉しませていただくようになって、やがて一年を迎えようとしています。しかし同時に、その「一年」には、二階堂さんとの「ご縁のきっかけ」も含めて、様々な思いが包含されています。「土と生き、土に生かされ、土へと回帰する」二階堂さんの活動を今後も注目していきます。(了)