陶芸家の安川万里子さん、彫刻家の嘉月正忠さん、金工家の中村友美さん、三人による『三人展@ギャラリーイチヨー』。こちらもまた素晴らしかった!!こちらは、以前作品は拝見しながら、別件で急いでいたためチラ見に終わった中村さんのその後に注目していた結果、お声をかけていただき、足を運んだ次第。 真鍮のお茶杓、というと「?」という方がおられても当然かと思いますが、これが実に美しいのです。使い方さえ気をつければ、実用性に疑問符が付くということもないのではないか、と。よりイメージに近いものを、ということで前回はご縁までいたらなかったのですが、さて今回は…。 金属にはそれぞれ、さまざまな特徴があり、さまざまな魅力と「得意」があるのですが、私はアクセサリー以外では真鍮が大好きで、その金属ながらなんとも有機的な質感に、ついやられてしまうのです。
今回は、勿論中村さんの真鍮作品目当てでうかがったのですが、この三人展、実に取り合わせが効いていまして、よくぞこんな見事に…と感動します。
今は沖縄をベースに活動されている安川さん(不肖私とは“沖縄つながり”です)の、繊細な作風(ギャラリーをして「よく腱鞘炎にならないわね、と言うんですよ」と)と、こちらに行き詰まったときに作る琉球は壷屋仕込みの荒々しくて情熱的な土器との、大きな振れ幅が魅力。
嘉月さんの作品は、枯れた感じとモダンさ、素材の息吹(というより呼吸ですね)が感じられる、端正ながらも不思議なニュアンスが持ち味。
そして中村さんの作品は、まさに一生ものとなりそうです。この一本、一作に、作り手の情熱と技、アイディア、素材とのコミュニケーション、すべてが込められているのだなと、手にするたびに、愛着深まる作品です。
お稽古から離れて久しいですが、茶杓だけは、生理的に好きで、手が喜ぶんです(w)。このお茶杓は、ケースと一緒にして懐刀のようにして持ち歩こうかと思っています。
そしてギャラリーイチヨーさん。ここがまた素晴らしい…。外光がたっぷり注ぎ、すべての作品が、やわらかい風合いを纏って整然と並べられている様はまさに幸福そのもの。実にいい時間でした。(了)