カテゴリ:本
「是非読んでみて」 先日、1年ぶりにあった先輩に、熱く勧められた須賀敦子 先輩は学ぶことが大好きで真面目と言うよりも生真面目ともいうような人 俗物にまみれている私とは生きる姿勢が2本くらい違い、 北海道の十勝の片隅でフランス語を教えながら テレビも車も余分なものは一切持たずに清貧を楽しみ 清く正しく美しくを貫いて生きている人なのです。 そんな彼女が勧める本はさぞかし窮屈では? 私も楽しく読むことができるかしら? と思いつつ読んでみました。 須賀敦子作 ヴェネツィアのフェニーチェ劇場からオペラアリアが聴こえた夜 亡き父が愛人といた京都の病院を訪ねた時のことなどを思い出す 「ヴェネツィアの宿」など12編の短編 ついでに「夜半のうた声」はその続編で、なかなか家に帰ってこない父を 母に引き合わせている。 子は鎹と言うけれどそんな役目までしなければならなかったのは さぞ辛かったことでしょう。 愛人を持った父なんて、若い娘には到底許せないと思うから。
須賀敦子はフランス・イタリアに足かけ15年留学していて その頃の思い出や出会いと別れなどが美しい文章で書かれ興味深い。 昭和4年生まれというので亡き母よりも2歳上、そう考えると 「女が女らしさや人格を犠牲にしないで学問を続けていくには あるいは結婚だけを目標にしないで社会で生きていくには」 という悩みを持って生活していたことはとてもよくわかる。 帰国後は大学で教え翻訳などしながら志高く生きて 1990年61歳で初めて作家としてデヴューし1998年に亡くなってしまった 次々読んでみたい作家になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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