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2006.07.10
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カテゴリ:時事
日本初出場の1998年のワールドカップはフランスで開催され、当時私はパリ赴任中だったせいもあり、一時東京からのメールの話題はサッカー一色。

現地での日常生活で仏語ができないのは大きな障害な上、仕事上協力を仰ぐ部署の人々が話すのはフランス語のみ。特に最初のうちは何事も身振り手振りで突破せざるを得ない一方、性格が悪いイギリス人の上司からは英語を同僚たちの前で馬鹿にされてへこみ、直属のお気楽ベルギー人上司のせいで複数の仕事相手先から頻繁に怒鳴り込みをかけられ、という感じのスリリングで刺激的な毎日を送っていた私は、正直なところ人様のお仕事(と言ったら日本代表に失礼かもしれませんが)の応援どころではなく、でも非国民と言われたくはないので、東京からのサッカーメールには適当に話を合わせてました。

結果、今もリアルタイムで観るほど思い入れはありませんが、当時からいる川口と中田は結構ファンです。

で、当時のフランス代表の中でファンになったのが、アルジェリア移民二世のジダンでした。



Wikipediaに書かれているように、1998年のフランス代表はそれまでの白人重用主義から一気に移民の戦力化が進みました。人種も肌の色も様々なメンバーがフランス国旗を背負って素晴らしい連携プレーを見せてくれた当時の代表チームは、フランス人にとって、移民をも完全に受け入れ共に進む理想的なフランス国家のあり方を具現するものでさえあったと思います。

現実のフランスは、多くの移民を受け入れ、自由・平等を唱えても、有名企業が貴族の血筋をありがたがって広告塔代わりに重要ポストにつけたりする一方、移民の失業率は20%台というしばしば暴動が起こるほどの異様な高さです。街中にも白人しかいないオフィスや商業施設は多いので、やはり移民というだけで履歴書をはねる雇用主が結構いるのでしょう。

現実が理想と離れているだけに、移民だけでなくフランス原住民も理想を求める気持ちは強く、その憧れが自国開催と相まって代表チームに投影されていたのかもしれません。



だいぶ話がそれましたが、ともあれ、結構思い入れもありどちらかと言えば冷静なタイプのジダンが、最後の試合でマテラッツィに頭突きしたのには非常に驚きました。

それ相応のことを言われたからだろうとは思いますし、頭突きの理由を教えろという声も多いですが、現時点で最善の行動は、この件について一切言い訳をしないことです。

結局のところマテラッツィがを言ったとしても、彼の行動は代表メンバーとして許されるものではありません。この件について何も語らず表彰式にも出なかったという彼の行動は、それを彼もよくわかっているからじゃないでしょうか。



世の中には、どんなに悔やんでも取り返しのつかないことが結構あり、そしてその原因は大抵、自分のコントロールを失ったときに起きます。

人から何か非常に頭に来ることを言われて爆発しそうになったら、何かしたり言ったりする前にまずとにかく10秒こらえる、というのはかなり実際的な回避手段です。

で、10秒たっても怒りが静まらないことは往々にしてあるわけですが、その時はどういう手段で報復をするのが最も効果的か、と考える余裕が出てくるので、後の後悔につながる言動をしてしまうリスクは相当低くなるのです。





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最終更新日  2006.07.10 22:52:32
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