とっち家の韓国ごはん

日本滞在も残り少なくなったある日のこと。

たくさんのいい人たちにめぐり会え、
たくさんの元気とパワーをいただいて
満足感いっぱいの日本滞在..

だったのですが
こんな人もいるんだなあと感心してしまう人に出会ってしまいました。


いただいたお年玉でゲームセンターに行って遊びたいという
子供たちを連れて実家の近所のショッピングセンターにて行きました。

駐車場に車を止め、楽しく遊び、買い物をして車に戻ったところ
とっちが助手席に乗ろうとあけたドアが隣の車に‘コン’とぶつかる音。

速攻隣の車の運転席に座っていた男性が
「ちょっと！」
と窓を開ける。
「子供がドアぶつけたんだけど...」

「ぶつけましたか？すみません。申し訳ありません」

とあやまった私。

なのに、すみませんじゃないよ、とかなんとかいって
なんだかつっかかってくるその人。

「キズつきましたか？どこですか？」


と聞きながら見てみるがかすりキズ１つない。

「どの辺がぶつかったかちょっとお宅の車のドア開けてみるから」

「あの、キズがついたかどうかは開けてみなくても見ればわかるんじゃないですか？」
（そうやってもう一回バンと開けてぶつけて高額修理代要求するつもりでしょ？
　そんなことはみえみえよ）
とドアを閉める私。

「ホントに話しにならん。ちょっと連絡先教えて！」

（話にならんのはあんたのほうじゃ、なんで連絡先なんか教えにゃならんのだ。
　それのも新手のナンパか？子連れのオバさん相手に！？）

「キズがあるなら修理代はお支払いします。でもどこにキズがあるんですか？」
指で車のホコリを拭きながら言うと

「勝手に触らないでくださいよ。大事なクルマにキズがつく」

「指で触っただけでもキズがつくんですか？」

「知らないかもしれないけどねえ、指にゴミとかついてたらキズつくんだよ」

「そんな大事な車なのにこんなにホコリついてるし。私の指のほうが汚れてるんですけどね。
　そんなに大事なら乗ってこずに飾っておけばいいじゃないですか？」

だんだんエキサイトして声を荒らげる私。

「こっちは冷静に話したいのに１人で興奮して。ケーサツ呼びますよ」

「はい、呼びましょう」

「あんた頭オカシーんじゃないの？」

（オカシーのはあんたのほうじゃ）

「じゃ、精神病院にでも連れてってください」

などと大声出してわめいてるうちに、買い物を終えたその人の奥さんらしき人がやってきた。

「ぶつけといてその態度はなんなんですか？」

「いえ、ぶつけたことに対しては初めにきちんとあやまりました。
　それなのにキズがついてるかどうかその場所をドアをあけて確かめるとか
　ワケのわからないこというからです。」

すると男性が
「それにさっきドア閉められて血まめできたんだよね。痛くってしょうがない」
と親指の黒くなったところを見せる。

「ケガまでさせといて」
と女性。

（そうやって治療費も請求するつもりね。でもさっきはさんだのに
　そんなにすぐ黒くなるわけないでしょ。）

「あなたじゃ全然話通じないからご主人に連絡しますよ」

「主人はいません」（韓国語できるなら教えてあげるわ）

「もうとりあえず連絡先教えて」

（結局それがめあてなのね）
「今ここで話にならないのに連絡先教えたらそれで解決するんですか？」

「頭おかしいよ、この人...」

終わりそうもないやりとり。
大声でどなりちらしながらも

（ああ、最初から日本語わからんふりして韓国語でまくしたてときゃよかった...）
と後悔。

（でもさ、もしかするとここで『口論から刃物で刺される』かも！？）
なんてニュースの見出しがうかんできた。

こんな人を相手にするのも時間の無駄だし、ここで終止符を打とう。
どうせ頭おかしいよわばりされたし...

ここで私は賭けにでた。

幼稚園時代「白雪姫」の継母の魔女役、
中学時代には「銀河鉄道の夜」のジョバンニ役に抜擢された
その役者魂を呼び覚まし、
相手の運転席ドアを開けれない位置に土下座して
大声でうそ泣きしてみせた。

「すみませんでした。私が悪かったです。修理費も治療費もお支払いします。
　許してください。お願いします。許してください、すみません....」
を泣き声で繰り返した。

（だんなもいないって布石を打っておいたのに
　これで金をとろうとする人だったら血も涙もないやつだ）

「もうどいてよ、頭ぶつかるよ。子供たちもいるでしょう」

と言って車に乗り込もうとする男性。

（ふん、男にはやっぱ涙よね）

私は地面につっぷしながら
この車が通り過ぎるとき、タイヤの下に手を入れて
治療費請求してやろうかとも考えたが
まだギタリストへの夢を捨ててはいない黄金の指を
そんなことで犠牲にするわけにはいかないのだ。

そしてその車が行ってしまうのと同時に泣く演技をやめた私は
ムックと起き上がり、車に乗り込むと
びっくり顔の子供たちに
「オンマって演技上手でしょ？」と軽く言ってみせ
「これからはドア開けるとき静かに少しだけ開けてね」
と言った。

そして車を走らせながら

“ちょ　みっちん　のむ　せっき（あのきちがいめ）”

という言葉が我知らず口をついてでてきた。
ああ、こんな言葉が私の口から発せられるなんて...
この口が腐りそうだわ。あんなやつのせいで..

食べ過ぎた遅めの昼食のせいか、気分の悪さからか胃が痛く気持悪くて仕方がなかった。

帰って胃薬飲んでちょっと落ち着くと

ま、あの人もかわいそうな人ね。
あんなことして得する人もhappyになる人もだれもいないのに。
一見おとなしそーなおばちゃんだからふっかけたんでしょうけど
残念だったわね。なんにもでなくって。
何のために無駄な労力使ってるのかしら。かわいそうに。
と同情してやることにした。

でもいったい何が目的だったんでしょうね。お金？個人情報入手？
ま、初めてではなさそうでしたし、こういう方法使うんだなあと
参考勉強になりました。
いろんな人がいるもんですね。


今回の教訓、反省点
　
　・子供が車に乗り降りするときにはドアの開け閉めには注意しよう

　・すぐに警察なり保険屋なりを呼ぼう
　（場合によっては弁護士立てて裁判にかけると言おう）←これは後で聞いた助言

　・周りの人々は見てみぬふりをする。あてにならない。

　・即座に日本語がわからないフリをしよう＋全羅道方言での悪口を覚えよう　←これ重要
　（全羅道の悪口のひどさは韓国一、いや世界一）