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「あれ、まだいたの?」
そう言って教室に入ってきたのは、さっきバイトがあると言って帰っていった友達。 「え……うん、ちょっとね」 突然の事に、少し返答に困ってしまった。 「ふぅん…。私は、ちょっと忘れ物ね」 そう言って彼女は、自分の席に向かった。 がさごそ…。 シンと静まり返ってた教室に、物音が響き渡る。 しばらくの間、お互い無言。 それから少しして忘れ物を見つけたのか、彼女はそれをいそいそとカバンに詰め込んだ。 そして、 「それにしても、こんな時間まで何してたの?」 唐突に、彼女が聞いてきた。 それもそうだ。 明らかに不自然だもんね。 「う、うん…特になんにもしてないよ」 もちろん、何もないなんて事はない。 あんまり喋る気になれなかった。 そんな気分じゃない…。 「んー」 でも、彼女は納得しないのか何かを考えるかの様にして、こちらに近づいてきた。 「どうしたの? ここ数日なんか変じゃない?」 「え…そ、そんな事ないよ」 「そんなこと無くない。ほら、何かあったんなら言ってごらんよ」 うぅ、やっぱり彼女にはお見通しみたい。 彼女は、小学校の頃からの友達。 高校入った時は違うクラスだったけど、今年は同じクラスになったんだ。 以来、何度かこの様な悩み事を聞いて貰っていた。 だから…解っちゃうんだね。 「う、うん…実はね…」 私は、全部を彼女に話した。 理由もなく、泣き出してしまった事。 彼に、キスされた事。 それに、彼と初めて話した事。 それを聞いて彼女は、少し驚いた様な顔をした。 「もしかして…彼、記憶が戻って来てるんじゃ…?」 「記憶…?」 「そうよ。あの時あなたにも説明したけど、全然聞き入れてくれなかったから…」 そう言えば、そんなことがあった気がする。 あれは、小学校の頃の…。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/14 02:58:42 AM
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