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「ううん、アナタも少しは記憶を無くしてるハズよ」 あれは、小学校の頃… 彼女の話によると、私と彼は小学校の頃一緒のクラスだったらしい。 全然、覚えて無いんだけどね…。 そして彼は私に、恋心を抱いていた。 ラブレターも貰っていたみたい…。 彼女にもその事で、色々と相談していたみたいだ。 でも、結局一度もちゃんとお話する事は無く。 ラブレターを受け取った数日後、一つの事故が起こった。 それは、クラス対抗でのバスケットボールの試合があった日。 彼はバスケ部に入っていて、その時の試合にも参加する予定だった。 ラブレターをくれた彼が出場している。 そう思って、私は彼女と一緒にバスケットの試合を見学しに行った。 バスケの試合を見に行った……この部分は、何となく覚えてる。 でも、この後何があったのか…そこが、よく思い出せないでいた。 「この試合の時にね、彼がドリブル中にバランスを崩して……あなたに向かって倒れこんできたのよ」 「…そんなことが、あったんだ」 だから、その後の部分が記憶から飛んでるんだ…。 「打ち所が悪かったのか、あなたも彼も気を失っちゃってね。 試合はそこで中止。二人とも病院に担ぎ込まれたんだから」 その後、二人とも怪我は大したことなく、すぐに退院出来た。 でも、彼の方は……一部の記憶がすっぽり抜けちゃってたみたいで。 その一部の記憶とは……そう、私に関する全ての事。 好きになってた事も、ラブレター出してた事も……私の、名前までも。 「あの時…事故があった後、ちゃんとあなたに説明したんだけど… 『冗談だったんだよ』とか『からかわれてたんだ』とか、そんな風に言ってたんだよね…」 「う、うん……そうだった、かも…」 それもそうだ。 私の事だけを忘れるだなんて、そんな事有り得ないと思ってた。 …その時は。 でも、今となって考えると… あの時の彼の行動も、納得がいく。 それにしても、何でこんな事件を全く覚えてなかったんだろう…。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/21 02:41:59 AM
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