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カテゴリ:ひよっこ
■2日間にわたる先攻・和久井映見、後攻・佐々木蔵之介による恋愛攻防戦は白熱した展開を経て無事引き分けに終わり、観客5人の号泣を誘った。立ち聞きないし盗み聞きという手法は朝ドラのみならずドラマ内の常套手段でその内容如何によっては視聴する者のもらい泣きをより誘発するという効果もある。
■私が知る限り、その効果を最も有効に発揮したのは全盛期の倉本ドラマにおいてであったことが多い。たとえば「前略おふくろ様」で大滝秀治が桃井かおりに若かりし頃の自分と妻の話をするシーンを立ち聞きしていた川谷拓三。たとえば「北の国から・遺言」で地井武男がやがて亡くなる妻に新居を見せるシーンに立ち会ってしまった布施博。そんな彼らのくしゃくしゃの顔を見てこちらもまた同じ顔になったものだ。 ■2番じゃいけないんですか、と声を張り上げたのは元民進党代表だったが、最高というわけではないがその次であるというポジションは決して不名誉なものなんかではない。ピースサインがその意味だったという所には意表を突かれたが、相手には歴然とした一番がいるのだとわかっているということは気持ちの上では楽なのかもしれない。だから気分はピースなんだ。 ■佐々木蔵之介の話にうたれたところは亡き妻とは見合い結婚だったゆえ、ロマンスと呼べるものはほとんどなかったが、どんどんどんどん好きになっていったという部分で、昨今このドラマ内のあちらこちらに飛び交う「好き」「大好き」の洪水の中、本物の「好き」の迫力を感じさせるエピソードだった。 ■幸せは伝染(うつ)るというのはけだし名言だが、その分量や熱量はそれを受け止める側の捉え方感じ方によって様々である。またその幸せという定義を疑う者もあれば、それを妬む者もいる。向田邦子の作品の中にそのものずばり「幸福」というドラマがあった。そこには明朗で温和な雰囲気は一切なくひりひりとした感触だけが支配していた。優れた幸福論はどれだけ不幸が身に沁みるかによって決まる。このドラマの決着が薄々感じとられた今、2番でいいんですという言い訳だけは聞きたくない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/09/24 12:23:59 AM
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