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テーマ:今日聴いた音楽(75309)
カテゴリ:音楽
21歳のシンガーソングライターである中村中(なかむらあたる)。
今年の秋デビューして、私はちょっと前にテレビで知りました。 すらりとした長身。 意思の強そうな、それでいて押し出しの強くない、すっきりとした顔立ち。 容姿のイメージに合う、やはり落ち着いた中低音の声。 全体にふわふわしたところのない大人っぽい落ち着いた雰囲気の中性的魅力を持つ女性。 「いまどきの21歳でこんな雰囲気を醸し出す人もいるんだ」 というのは第1印象でした。 2枚目のシングルである「友達の詩」。 しっとりとしたバラードです。 21歳とは思えない深さと重さのある歌の世界に、一瞬で引き込まれてしまいました。 手をつなぐぐらいでいい 並んで歩くくらいでいい それすら危ういから 大切な人が見えていれば上出来 21歳のモデル体型のお嬢さんが、こんなストイックにも思える歌詞を書いていることにも驚いたのは確か。 けど、実際21歳のときでも私だってこんなふうな思いを抱いた恋だってしていたことがあったのだと思い出すと、ジワリと胸に響いてくるのでした。 相手に伝えられない思いを抱えている。 それでも、ちょっと触れ合うだけでも、ともに時を過ごせるだけでも、幸福感を覚える。 辛いけど、辛いだけじゃない恋。 でも、「危うい」のはなぜだろう。 エスカレートしてしまう気持ちに対してだろうか。 相手に知られてしまうことに対してだろうか。 そんな歌詞に描かれた世界の奥をものぞきたいと思わせる詩でした。 今日知ったのは、彼女が性同一障害を抱えていることをカミングアウトしていること。 「歌を自分で書いて歌っているからには、うそをつきたくないと思った」 と彼女は言っていました。 ああ、そうなんだ。 そこで、すとーんと腑に落ちました。 彼女の詩の世界のさらに深遠なる部分を垣間見ることができたという実感でした。 歌という作品(歌だけではなくて、他のジャンルにもいえるけど)は、作品自体を独立して聴いても、その世界を聞き手の方に引き寄せて楽しむことができる。 でも、歌を生んだ人を知るということは、さらに歌の世界を広げることができる。 詩の誕生に秘められた事情とか歌にこめられた感情が、聞き手の感情とうまく重なることができれば、さらに歌は大きなものになる。 彼女(やはり女性としか思えない。そもそも宝塚ファンゆえにか、あまりそんな境は気にならない)の抱える障害の苦しさというのは、理解はできても本当に共感することはできないとは思います。 やはり、実際と想像とは違うものだろうから。 でも、彼女の抱いた思いを歌ったものが、確実に私の感情にも共感できるものとして受け取ることができる。 彼女の持つストーリーと私の持つストーリーとの相乗効果が生まれる。 そんなふうに、私にとって「友達の詩」は大きくなったように思います。 中村 中/友達の詩 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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