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カテゴリ:幼かった頃
戦時中、母の実家で疎開生活をしていたとき、
一緒に住んでいた、義理の叔母が猫好きで、たくさんの猫を飼っていたが、 私にいたずらされるのを嫌って、 「猫をいじめたら猫魂(ねこだましい)が来て おまえをさらっていくよ」と言った。 叔母は冷たい美人だったから、その冷たい大きな目が怖かった。 ある日、ちいちゃな可愛い赤ちゃん猫をだっこしていたら 黄色い水を吐いて死んでしまった。 私は自分が殺してしまったかと思い、それからは、毎日、 猫魂(ねこだましい)がわたしをさらいに来ると思って心配していた。 終戦になって父が復員してきて、夜中に初めて大きな父のいびきを聞いた。 それは、父が家にいる、初めての経験だったから、 私はまだ、豪傑いびきというものを知らなかった。 それは、猫魂がわたしをさらいに来た音かと思い、 急いで、掘りごたつの中に入って一晩中、 汗をだくだくかきながら、ふるえていた。 4才か、5才の時のことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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