公的年金の支給停止制度
前月に続いてまた年金のお話です。参院選挙も終わり・・年金未納問題等もほんの少し熱が冷めた感もありますが・・・それはさておき皆さんは表題の“公的年金支給停止制度”ってご存知でしたか?これはその言葉通り、本来はきちんと年金保険料を支払っていて公的年金を受給する資格があるにも関わらず、自分から年金の受け取りを辞退する制度です。(注・・年金保険料を支払わずに結果的に受給資格がないため、年金をもらえなかった場合とは意味が違います。)恥ずかしながら私は知らなかったのですが・・今年4月に新しい制度として規定されたらしいです。それでは何故、このような支給停止の制度ができたのか?社会保険庁のHPに書いてあったのは以下のような答えでした。<問>受給権者の申出による支給停止の規定が設けられたのはなぜですか。年金は、受給権者の裁定請求に基づき、社会保険庁長官が裁定を行うことにより、支給が開始されます。したがって、受給権者の意思により裁定請求を行わず、結果として年金を辞退することは現行制度においても可能です。しかし、裁定請求を行わないことにより年金を辞退していた受給権者が、年金の必要性が生じた時点で裁定請求を行うと、請求時点以降の支給が開始されるとともに、時効消滅していない過去5年間分の年金も併せて支給されることになり、年金受給の辞退という受給権者の意思が貫徹されない結果となるため、受給権者の申出により年金の支給停止を行う規定が設けられたものです。ご存じだと思いますが・・・公的年金は受給を受ける予定者自身がこちらから国へ請求しないともらえない仕組みに現在なっています。ですから現行制度でも辞退(実際は請求を忘れてしまった又は請求することを知らなかったケース)することは可能なのだそうです。ただ、自分の意思で積極的に辞退した場合とそうではない場合とを区別する意味合いもありこの制度を設けた部分もあるようです。ちなみに社会保険庁の発表では・・・この制度ができた今年4月の1か月だけでも男性9名と女性9名の合計18名が受給を辞退されたそうです。地域別だと・・北海道2人、本州11人、四国3人、九州2人となっています。そのトータルの年金総額は約1,500万円ほどになるそうで、緊迫している年金財政の原資に充てられることになるようです。(要はその分、他の人に支払う年金の原資がなくて済む事になりますね。)私はまだ年金をもらえる歳までかなりあるのですが、それでも働けなくなった時に生活していく糧としてもらえるものであれば年金はもらいたいと思っています。(普通の人はほとんどそう思われると思いますが・・・)それにしても想像するに年金の受給を自らの意思で辞退される方は・・・よほどのお金持ちの方か又は・・・よほど人間が出来た方か・・・いずれかの方なんでしょうね。社会保険庁では辞退者の人数は公表しているようですが、残念なことに受給を辞退した理由までは明らかにしていません。もちろん辞退された方の氏名等の公表もされていません。もしかしたら・・・意外に身近な方が辞退されているかもしれませんね。(追伸)なんでも現厚生労働大臣の柳沢大臣も辞退者の一人だそうです。柳沢氏は、受け取り辞退の理由について「厚労相であるからというわけではなく、あくまで個人的な判断だ」と説明しているそうです。色々と物議があった大臣ですが・・・立派な行為ですね。 羽田晋朗