商売って、そういうことじゃないでしょ!?
先日、さわやかな秋晴れのもと、息子(5歳)と娘(2歳)の通う保育園の運動会が開催されました。もちろん私も、デジタルビデオを片手に観に行き、親子競技なんかにも参加しながら、一人の“父親”として、かわいい我が子たちの成長を実感できたうれしい一日でした!が、一人の“経営コンサルタント”としては、どうも納得のいかない出来事が・・・。――――――うちの子の通う保育所は、他の多くの保育所と同様に、いわゆる駐車スペースがほとんどありません。全部でせいぜい15台分ぐらいでしょうか。ふだんは、出勤前の切羽詰まったお母さんたちが、それぞれの時間に来て車をパッと停め、それこそまるで運動会の競技に参加しているかのようなスピードで手際よく子供たちを預けて、また仕事場へと車を飛ばす。「はい! ○○ちゃんのママ、今のタイム、1分47秒!」みたいな(笑)そんな感じですから、駐車場が15台分しかないことは、ほとんど問題にはなりませんが、こと“運動会”となると、もう完全にNG。保育所サイドとしては、不公平にならないよう、車での来所そのものを自粛するように要請せざるを得ません。たまたま我が家みたいに、保育所まで“歩いて5分”というラッキーな家庭はいいですが、そうでないご家庭が大半ですから、さあ困りました。そこで、申し訳ないと思いつつも、つい停めてしまうのが、近隣の大手スーパー『Y』の駐車場か、大手ドラッグストア系スーパー『K』の駐車場。ともに、保育所から徒歩3~4分ぐらいのところにあり、広さもかなりのもので、絶好の(?)ロケーションです。――――――さて、いよいよこれから開会式!というその直前に、園内放送が入りました。「たったいま、スーパーの『Y』から苦情の電話が入りました。『お宅の保育園の関係と思われる車が24台ほど、当店の駐車場に停めてあるようです。たいへん迷惑をしておりますので、ただちに移動してください』とのことです。申し訳ありませんが、『Y』の駐車場に車を停めていらっしゃるご父兄の方々は、車の移動をお願いします。」そのスーパー『Y』は、午前10時に開店するお店ですが、お父さんお母さんが運動会に間に合うようにするためには、おそらく8時とか8時半ごろから皆さん、続々と駐車したのでしょう。それを見て、たまりかねたお店の責任者が、苦情の電話を○○保育所にしてきた、とこういうわけですね。う~ん、はたして、これって・・・?――――――もちろん、他人の敷地に用もなく無断で車を駐車する行為は、けっして褒められたことではありません。たしかに、ある意味では犯罪です。ただ、もし私が『Y』の店長だったら、そんな“苦情の電話”なんて野暮なことは絶対にしませんね!まずそもそも、自店から歩いてすぐのところにある保育所に子供を預けている親っていうことは、日ごろから自店を使ってくれているお得意さんなわけでしょ?夕方、子供を迎えに行ったお母さんが、その足で『Y』で買い物をして帰る確率は相当高いわけです。保育園児にとって、年にたった一度の運動会。しかも、正午ぐらいにはすべてのプログラムが終了するわけですから、実際に“迷惑”するのは、開店の10時からたった2時間程度のことでしょ?ましてや『Y』の駐車場もこの不景気の折り、ご多分にもれず、ふだんからガラガラじゃないですか!(大きな声じゃ言えませんが・・・)土曜日の午前中の2時間に、そこの『Y』の駐車場が満車になったのなんて、わたし見たことありません。――――――そうそう。私が店長だったら、こうしますね。まず普段から○○保育所とのコミュニケーションを密にし、「今年の運動会はいつなんですか?」と積極的に情報を入手。当日の天気予報をあらかじめチェックしたうえで前日から準備を始め、当日の朝は、駐車場の入口あたりに、『○○保育所のみなさん、運動会おめでとう! 赤組も白組もがんばれ!』と大きく歓迎のポスターを。そして、『ふだんから当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。よろしかったら本日は、当店の駐車場を遠慮なくご利用いただき、ゆっくりと運動会をご覧になってきてください。』さらに、『運動会を一生懸命がんばった○○保育所のお友達には、帰りにご褒美のお菓子をプレゼント! お楽しみに!』としたうえで、『小さいお子さんが喜びそうなおいしいお弁当を、本日は特別にたくさん用意しております。ぜひ今日のお昼にご利用くださいませ。』と、応援に来てくれたおじいちゃん、おばあちゃんたちと一緒に、みんなで食べられるような、たとえばオードブルみたいなのを多めに準備する。いかがですか?これなら間違いなく、売上アップにも店のイメージアップにもつながると思いますけどね。――――――閉会式のあと園内放送で、「みなさん、もう来年から『Y』に停めるのはやめましょう!」と某先生。ちなみにこの日、この苦情電話にムッとした我が家は、あえて別のスーパーでお昼のお弁当を買って、じいちゃんばあちゃんも一緒に家族みんなで楽しく食べました。ま、せいぜい6,000円分ぐらいの買い物ですけどね。あ、もちろん私は、もうそこの『Y』には行きません。あしからず。SOSコンサルティング代 表 奥 村 昌 平