ひょっこりひょうたん島
私が子供のころ 毎日見ていたテレビ番組が「ひょっこりひょうたん島」なのです。♪♪♪♪♪♪♪波をチャプチャプ チャプチャプかき分けて雲をスイスイ スイスイ追い抜いてひょうたん島はどこへ行くぼくらを乗せてどこへ行く~~~~丸い地球の水平線に何かがきっと待っている苦しいこともあるだろさ悲しいこともあるだろさだけどぼくらはくじけない泣くのはいやだ 笑っちゃお進め ひょっこりひょうたん島♪♪♪♪♪♪♪♪この歌が始まるとテレビに釘付けになり、一緒に口ずさんでおりました。まだ娯楽が少なく貧しかったあの時代に軽妙な音楽とコミカルな話題に未来を見ていたような気がします。昨日 井上ひさしさんのエッセイ「わが蒸発始末記」を読んでおりましたら、その時の逸話が書かれています。ブロードウェイ・ミュージカルのありとあらゆる手法を取り入れやろうと、オリジナルレコードを全て購入して、いつの間にかシナリオは置いてけぼりとなり、聞くことに専念してしまったこと。遅筆作家井上さんの調べ物癖を、面白おかしく書いておりました。私がミュージカル好きになったのも、このころの影響があるのかもしれません。また自動車免許取得顛末記では、井上さんの性格がよくあらわしている教習所指導員とのやり取りに抱腹絶倒。井上氏は「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書く」と言っておられました。私は 租税教室で「ひょっこりひょうたん島」の一曲を子供たちに披露したこともあったのです。2010年4月9日 75歳で亡くなりました。3年前でしょうか 司馬遼太郎の「菜の花忌」が東京で開かれたとき、井上さんの話を聞いたのが最後となってしまいました。軽妙タッチの笑いの中に風刺を織り交ぜ、多くの言葉を残され永く心に刻まれることと思います。ご冥福をお祈りします。安西節雄