忘己利他
先週、NHKテレビで瀬戸内寂聴さんの地震被災地での青空説法の様子を見ました。寂聴さんは、被災者の方々に温かくユーモラスに語りかけ、悲しみと緊張の連続で固まった被災者の心を穏やかに溶かしてあげるようで感動しました。そしてボランティアの若者にも声をかけたのです。寂聴さんは、若者が被災地に行き寺の修復に励む姿を見て、「これが忘己利他(己を忘れて他を利する)という精神で、日本の将来は大丈夫。」と、彼らの行動を称賛していました。彼らは、神奈川県から来た20歳前後の若者たちで、自身も若者なりの悩みを持ち、ボランティアするぞと鼻息荒く出てきた訳ではありません。若者たちは、寂聴さんから、「無償で寺の修復にあたるあなた達の行為を、伝教大師最澄の言葉で「忘己利他(モウコリタ)」といい、慈悲の極みなのよ。」と教えられ、「将来この尊い行動がきっと役に立つ。」と励まされていました。何か役に立ちたいとの一念で始めた自分たちの行動が、「忘己利他の精神である」と説かれ、崇高な気持ちで褒められ、気恥ずかしそうでしたが、ボランティアに来てよかったと、最後には本当に(ちょっぴり誇り高く)うれしそうでした。彼らには、お金で得られない喜びであり、一生の財産となるでしょう。寂聴さんの法話では、今の日本人にはこの忘己利他の精神が失われているとネット上に記されていましたが、震災を通じて復活を感じられたのではないかと思います。税理士会所沢支部旅行でオーストラリア(ケアンズ)に行きましたが、オプショナルツア-で行った先で中国人団体の旅行者達と一緒になった仲間がいました。曰く、ツア-中、中国人同士でも我先と争いごった返した形相で、うるさい・疲れた・圧倒されたとな。世界の注目を浴びる中国、仏教も中国経由で日本に伝来しているわけで、人民のマナ-もトップレベルに飛躍してほしい一面かなと思うのです。清水七都子