個人の株式保有期間
先週は、ついに日経平均株価が、20,000円を超えましたが、4月6日付の日本経済新聞によると2014年度の個人投資家の株式保有期間が8.9カ月となり前年度と比べて3.3カ月延びたそうです。この記事によれば、NISAによる売却益非課税効果と各社の株主還元の広がりを要因として、個人投資家も長期間株式を保有することでより大きな利益が得られるような環境であることを示唆しています。ただし、この記事では、同時に過去10年の平均保有期間の時系列推移グラフが記載されておりますが、2008年度の保有期間が最も長く、17か月となっています。なぜ、2008年度の保有期間が長くなっているのか?株式投資をされている方ならば、記憶に新しいところだと思いますが、この年は、リーマンショックによる大暴落がありました。そのように考えると、株式保有期間が延びる最大の理由は、含み損により売るに売れなくなり仕方なく長期保有しているという割合が現実には多いのかもしれません。また、平均株価が上昇したからといってすべての株式が同じように上昇するわけではありませんし、一定率で上昇して行くわけでもありません。株価は山あり谷ありです。山で買ってしまった投資家は、売却益を得ようとすれば、長期間保有するしかありません。さらに、2014年度から始まったNISAは、売却益が非課税ですが、逆に損失が通算できませんので、先月のブログでも書いたように値下がりした場合は、塩漬けにする可能性が通常の口座より高いのかもしれません。一方で、もうひとつの要因として株式の売却益に係る税率が、20%強に引き上げられていることも考える必要があります。同額の投資から従来と同じ利益を得ようとすれば、保有期間が延びる可能性は十分にあります。このように考えると、今回の記事にある個人の株式保有期間の長期化というのは、果たして本当に個人にとって良いことが起こっていたのか疑問に感じるところです。中平英晴