「私の履歴書」
日経新聞 今月の「私の履歴書」は 倍賞千恵子さんでした。とても歯切れの良い文章で、さっぱりとした 男らしさを感じた文章でした。サラリーマン社長や お役所幹部の履歴書は 経営経験や戦略的な決断、チームを導いた経験が多く示され、ビジネス上の達成に焦点を当てることが一般的で自慢話になりがちです。「さくら」といえば 倍賞千恵子の代名詞で 「寅さん元気」といつも聞かれる役者稼業イメージとは恐ろしいですね。「さくらはスキーで日焼けはしない」「さくらはミニスカートをはかない」「さくらはタバコを吸わない」と自分の個性はすべて否定されてしまう。舞台や映画、テレビなどで、たくさんの俳優・監督・スタッフ・そして所属会社の方針による出演した作品や役柄、演技の経験、受賞歴など話題が尽きない。 私の好きな作品に「家族」がある。「家族」は長崎の炭鉱に見切りを付け、北海道の開拓村に移住しようと3000キロを縦断する5人家族の物語。九州弁を徹底的にマスターしたり 奥歯には金歯も入れたり。共演する息子や乳飲み子とは本当の母子のように懐いてもらうために、なるべく一緒に過ごしたり。俳優稼業も思っているほど楽ではないようだ。「故郷」、「遙かなる山の呼び声」ともに「働く」女性が多い。そんな倍賞さんも82歳になられた。「PLAN 75」75歳以上になると安楽死する権利が与えられる映画で残念ながら私は観ていなかった。「与えられた命は最期まで全うしよう」と 悟る生き方を描いているようだ。最近 相続案件が多くなり その人の 生き方について考えることがある。「お金を残してきたことよりも どこにお金を使ってきたか」 実際に何を大切にし、何に喜びを見出していたか、そこからその人の生き方や人生観を読み取ることができる。倍賞千恵子さんから 大切なことを教えていただきました。それでは 皆様 よいお年をお迎えください・・・・2023年 大晦日 安西節雄