使っていないようで、結構使っているものなのです。
「使い過ぎ、使い痛みですよ」と患者さんに伝えると、多くの方は「そんなに使い過ぎることはしていない」「特別、無理をかけたわけではない」と口にします。確かに、一気に使い込んで悪くなる人もいるのですが、それはごくわずか。たいていの方は、毎日毎日の繰り返し繰り返しの作業で徐々に徐々に悪くしているケースが多いのです。ある日、突然痛みを感じるようになったようですが、実は、徐々に徐々に、繰り返しの動作で筋肉や腱組織が傷ついてきているのです。では、具体的に何が使い過ぎた動作なのかというと、それは、今痛みを感じることの多い動作が患部に無理をかけているのです。無理がかかっているから痛むんです。物を持つ動作、ぞうきんを絞る動作、仕事での動作、パソコンのマウス・クリックやキーボードのタッチ、書き物、自転車のブレーキ動作・・・。これらの動作で痛みを感じるのなら、その動作の際に筋肉に過度の力が働き、腱や靭帯、骨膜に負担がかかっているのです。えっ、こんなことで? と思うかも知れませんが、痛みがない時でも、そういう動作を行うことで、患部に過度のストレスを与え、腱や靭帯、骨膜部に小さな傷や炎症を起こしてちょっとずつ悪くなっていったのです。一旦、痛みが出始めると、そういうちょっとした動作にも痛みが伴います。つまり、そういう動作での負担が少しずつ関節に蓄積し、痛みが起こったのです。