福島県・花の旅
一泊二日で、郡山・猪苗代湖・裏磐梯・福島・二本松・白河など、福島県で桜を追うツアーに行ってきました。郡山駅からバス。まずは、さくら湖にまわって湖畔の小高い展望台で、まだつぼみのままの桜の枝越しに、遠く安達太良山を展望しました。 安達太良山はその半分はまだ雪。 青空のもと、かすんだ紺色の山肌に光る白雪がすがすがしい。バスガイドさんが語った、高村光太郎の“智恵子抄”の一節、こころにひびきます。このあと一時間半の渋滞を我慢して、たどり着いたのは、樹齢千年の“三春の滝桜”。早朝、自宅のテレビで、「昨日は五分咲き」とのニュースでしたが、この好天の日差しで、一気に八分咲きから満開という幸運。 美しい紅枝垂れ桜、正面から見てまことに見事ですが、横から見ても、また草原に広がって桜を見上げる人々の色とりどりの姿を背景に、高台からその後姿を見ても、思わず笑顔になる楽しい景色でした。午後は、奥羽山脈を越えて猪苗代湖へ。 中通りあたりとは打って変わって、家々の陰には雪が残り、風はないものの空気は冷たく、早春の雰囲気です。湖畔から遊覧船で40分ほどの周遊。 船上からは、磐梯山はもちろんのこと、連なる那須連峰までよく見え、船の後ろに立つ波も湖面に散る雪のようで、山々の残雪に呼応しているようでした。 宿泊は裏磐梯の温泉です。 裏磐梯の檜原湖付近は雪の回廊の名残? 歩道はまだ雪で占領されていて、ホテルの前には雪の小山がいくつもあります。 空気はさらに冷たくて、湖も8割がた凍っている状態。 遊覧船やボートが、打ち上げられたような姿で雪に埋もれていました。 同じ県内なのに山々の影響で気候が大きく変わるのを実感しました。次の日、裏磐梯から土湯峠(奥羽山脈の分水嶺)を越えて、福島市へ。 途中、吾妻連峰を左に見ながらの走行で、吾妻小富士の山肌に残る雪の形が何に見えるか、答えは雪ウサギですけど、この形になると種をまく、というのがこの地域の暦だそうです。 暖かい中通りに入ると、満開の桜があちらこちらに見えて、しかも少しも散っていない、グッドタイミングでお花見日和です。“花見山公園”では、レンギョウ・木瓜・サンシュユ・木蓮・日向水木・梅、そして東海桜・染井吉野・おかめ桜・十月桜・寒緋桜・彼岸桜など、花三昧。飯坂温泉近くの“はなももの里”は、2年ほど前に開園したばかりですが、赤、白、ピンク、濃桃色と、幾色ものはなももがしっかりと咲いていました。 まだ畑の雰囲気も残っていて、ホトケノザとかオオイヌノフグリとか土筆とかタンポポとか、みどりいっぱいののびのびできるところでした。東北道を走って二本松市の霞が城公園へ。 雨が降り出して傘をさしての見学でしたが、がんばって完成したばかりの天守台石垣に挑戦、二本松城下四方をながめてきました。 雨の中で一汗かいてしまいました。最後に、白河市役所近くのお寺,妙関寺の紅しだれ桜。 寺の門を覆うようにしだれている“乙姫桜”。 “三春の滝桜”に勝るとも劣らない紅色でした。 こちらも樹齢何百年だそうですが、比べるとちょっと元気かな。 続けて、妙徳寺の源清桜、関川寺の結城桜と、いずれも年月を感じさせる立派な枝垂れ桜でした。今まで桜前線という言葉、あまり気にしなかったけど、今回福島の美しい桜を見て、北上する春を待つ気持ちがわかりました。 福島からさらに北の国では、今から桜の季節なのですね。うちのベランダから見える桜の木の枝には、紅いがくと若葉だけ。 雨に濡れています。