モーツアルトの故郷,それにカラヤンの故郷とでも言った方がいいのかな。
ともかくちっぽけな町なのに世界から音楽愛好家がここへやってくる。毎日が縁日といった感じのこぢんまりした街なのである。ザルツブルグ音楽祭もこの一画にある祝祭劇場で行われるのでありますよ。
ザルツブルグ。
かつてはザルツ(ソールト=塩)で栄えた町であるが,今は塩など誰も見向きもしない。
そうです。モーツアルトの故郷,だからモーツアルト抜きでは存在しえない町。
偉大な人物がかつていた,ということは地域活性化には実に重要であるということを知らされますね。日本で言えば,西郷隆盛とか伊達政宗とか坂本龍馬とか・・・とにかくこんなちっぽけなローカルな知名度ではなくて,世界を感動させる天才。
<あ,ごめん。西郷だって伊達だって坂本だって重要に決まってますよ。ないがしろにしているわけではありませんからね>
私は鉄道のザツツブルグ駅,この近くのホテルに宿泊したので旧市街地へはちょっと歩きましたが,これもなかなかの散歩でしたね。シシーの像を左手に見て,では行ってきます。
<この近くにシュパールありませんか? =シュパールとはドイツ語でスーパーのこと=>
新しい町に行って最初に聞くのはこのこと。スーパーはミネラルウオーターや副食物でも,とにかく庶民が買い物に訪れるところなので安い。観光地だから訪れる人相手の店は2倍も高い。ここで私は水とブドウとサンドイッチを買った。あのサウンド・オブ・ミュージックの撮影にも使われたミラベル宮殿を右手に見てゆっくり歩くと,すぐザルツァッハー川に出る。市内を流れる唯一の川を渡る。でもここにはいくつかの橋,少なくとも3本の橋が架かっているのですが,一番遠いと表現しましょうか,下流の橋である<モーツアルト橋>を渡ります。
<名前の割にはたいしたことない橋だな>
こんな不謹慎な感想を秘かに持ち,モーツアルト広場へと向かうのです。
モーツアルトの家もこの広場を見渡せるアパートの一室にあったのだ。周辺にはゆかりのカフェやらお食事所があります。こんなことはガイドブックを見るときっと書いてありますよ。
8月から9月でしたか,ザルツブルグ音楽祭が開かれている期間は特に観光客が多いそうですが,私のオススメは町一番古いレストランで行われるディナーコンサート。当然モーツアルトづくし。モーツアルトのお通しからはじまってモーツアルトのデザートまで。音楽を聴きながらの食事会。これがなかなか感動物なのです。カラヤンの提唱により始まった「ザルツブルグ音楽祭」に高いチケット代を払って居眠りするよりは遙かにいいですよ。
このレストラン,高い入場料を払い,美しく着飾って,教養人らしく振る舞って居眠りも我慢して聴いていたあのザルツブルグ音楽祭をようやく解放され,次に訪れるのがここだからです。どうせみんなここへ流れて来るなら,最初からこのレストランで気軽なモーツアルトを聴いて愉しんだ方が良い。
ザルツブルグ音楽祭で居眠りした人たちも,
<気取っているのも意外と疲れるわね>
こんな本音を言いながらようやく美味いものにありつける店。それがこのレストランなのです。だから音楽祭はパスして,最初からここへ行きましょう。デザートは勿論「モーツアルト」
ディナーコンサートは7時30分頃から始まり,11時ちょっと前まで続きます。だからホテルには「ちょっとだけ遅くなりますからね」と言っておくことをお勧めします。特にチェックインを済ませないでレストランに来てしまった方は・・・。