ヴェネツィアには教会がたくさんある。日本で言えば町内会ごとに,という感じである。その世界では教区という単位なのだが,ともかく「おいらの町の教会」なのである。これとは別に行政的な区分もあって,ヴェネツィアでは確か6地区に分けられていたはずである。これは宗教とは関係なく,渋谷区,品川区,新宿区・・・といった感じの分け方である。
おや,どんどん話がずれていきますね。
今日はヴェネツィアの音楽家の話です。
<えっ? それって誰のことだっけ。ヴェネツィアの著名な音楽家・・・???>
サン・ザッカリアという船着き場,ここが一番便利でサン・マルコ広場に近いと思うのですが,この船着き場にヴァポレット(水上のバスといった感じの定期便)で到着すると,向かって右側に歩きましょう。この大運河に面した海岸が「スキアヴォーニの河岸」と言われる長い長い船着き場です。ヴェネツィアの玄関に当たる船着き場ですから,最も重視されてきた港と言っても良いでしょう。スキアヴォーニとはイタリア半島のアドリア海を隔てた東側,今ではクロアチアのある地方と言うべきか,この地方出身の船乗りのことをさしています。
この海岸の一番左側(西側)にあるのがピエタ教会。写真はこの内部を写したものです。教会はゴシック様式のものですが,もともとここは女子孤児院だったのです。
そうです,この教会で聖歌隊の指導をしていたのが何と作曲家のヴィヴァルディーだったのです。こんなちっぽけな教会内部ですが,小規模のパイプオルガンが備え付けられています。特に彼の遺品や肖像画などはありませんが・・・
<そうか,ここでヴィヴァルディーは指導していたのか>
と,あの「四季:春・夏・秋・冬」で有名なヴィヴァルディーの若き時代のことを少しは感じとれるのではないかと,訪れた私でした。教会への入場は何かしら行事をしているときでないと入れません。通常はあいていないからです。このときは何もイヴェントは開催されていなかったのですが,たまたまあいていたのです。
<ラッキー>
しかし,何もない教会に入るだけで入場料を求められました。お客は私だけで,その後一人の男が入ってきて,すぐ出ていきました。
<なんだ,何もないじゃないか>
というのが正直な感想ですが,彼のファンならばきっと有り難いと思うでしょうね。