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銃を手に取り、見定める夫婦。 東南アジアでも最大級の規模を誇る巨大ショッピングセンター、「SMメガモール」で先日、‘銃’の展示会が行われた。国内の多数の輸入業者がブースを設けており、週末ということもあって、会場内は大勢の人でにぎわっていた。 展示されていた銃は猟銃や拳銃といった一般的なものから、戦闘用ライフルまで幅広い。価格は2万ペソ(約4万円)程度からで、上限はきりがなかった。 会場には銃マニアが興味深そうに品を見る光景がかなり見受けられたが、多くの製品には「軍人や警察のみ」の表示があり、ライセンスを持っていても購入できない銃も多いようだ。(自費で銃を購入する警察のシステムも疑問だが・・。) フィリピンの法律ではもちろん、一般人は銃を購入できないようになっている。だが実際には使用できる人はもっと幅広いようだ。 フィリピン人の友人の話では、裕福なビジネスマンや公務員なども容易に銃は持てるそうだ。もちろん護身用のためにである。 驚いたのは、興味ぶかそうに銃を眺めている私に「あなたは日本人?あなたも買えますよ!」といって最新式の高価な銃を勧めてくる店員がいたことだ。ライセンスが必要と言うが、どこまで厳格に守られてるのか不安になった。 ライセンスによって販売規制がかけられてるとはいえ、いくらでも一般人が銃を手に入れられるルートはあるだろう。そして銃が蔓延し、犯罪が増えるから、また護身用に銃を持ちたいという人は増える。これでは堂堂巡りだ。 「銃から身を守るために銃を」の考えでは、余計に犯罪が増えるだけで、何の解決策にもならないということが、この展示会を通してはっきりとわかった。 ‘欠陥の多い銃の流通システム’も問題だが、‘誤った銃に対する認識’にも問題があるように思う。 フィリピンではライフルを手に持ち、威嚇するかのように立っている警備員や警察をよく見かける。そして新聞でよく目にするのが、「警官が犯人を射殺した」という記事。そしてそのような警官の射撃の腕前を称えるような記事さえある。 ここでは犯罪を犯した者は、容赦なく殺してしてもいい、という様な考えが強いように感じる。正当防衛のための道具という意識は少ないのだ。 銃が物理的に身近だということは、心理的にも身近になる。「相手は銃を当然持っている」という認識があるので、すぐに自分の銃に頼りたくなってしまうのだろう。 しかし悪さを働く人のほとんどは、貧しさが理由である場合が多い。今日の新聞にも「子供にミルクをあげるお金がなく仕方なくネックレスを盗んだ母親」という記事があった。銃を保持している人を狙っていたら、撃ち殺されていたかもしれない。 貧しいからといって、犯罪を犯すことは認められない。だが何の弁解もできないまま殺されたのでは、貧困という社会の歪みをただ覆い隠してしまうだけだ。 展示会の話に戻るが、確かに会場には銃から身を守るための、高度な監視システムや防弾ガラスなども同時に展示されていた。しかし、それはわずかなスペースに限られていた。 そして最も気になったのが、親に連れられてきていた子供の光景だ。彼らはずっしりと重い本物の銃を手に取り、遊び半分で構えていた。 この国では、私が考えていたよりもずっと、当たり前のものとして銃が存在している。この子供達も大人になり、身の不安を感じれば、犯罪の原因を考えていくよりも先に、銃を手にするようになってしまう気がしてならない。 治安に限らず、多くのフィリピンの問題の根底にある「貧困」は、何よりも先に解決しなければならない事だというのは言うまでもない。 銃依存症になっているフィリピン社会の治療法に限って言うならば、銃に頼らず、断固として遠ざけ無くしていくという意識を人々が持つことがまず必要だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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