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「善意を見せろ!山崎日本大使!」
「日本の皆さん!私たちの仕事を守って!私たちの家族を守って!」 こう書かれたプラカードが辺り一面を埋め尽くす。そして彼女たちは、「試練」と題した詩を歌いはじめた。 「ただの試練にすぎない。戦うことを諦めないで。あなたは一人じゃないのだから。神はあなたを見捨てない。あなたの願いは必ず叶う・・・」。 昨年12月以降、フィリピンでは「じゃぱゆきさん」が再び注目を浴びている。 日本政府が売春対策の一環として、フィリピンからの芸能人受け入れを制限する方針を打ち出したためだ。 実施の延期を求めるフィリピン人たちが日本大使館前に集まり、この日も抗議集会を行った。集まった人々は、マニラにあるいくつかの芸能プロダクションや派遣業者が団結して結成した組織「OPA連合」のメンバー、約2000人だ。 午後6時に司祭のミサが行われると、テーブルや路上に置かれたキャンドルに火がともされ、‘じゃぱゆきさん’達は祈りを捧げ始めた。「どうか日本へ行けますように・・・」と。 日本では未だに「海外から出稼ぎに来たホステス」としか思われていない節のある彼女たち。だが彼女たちが背負っているのは、家族、そして国家。問題は日本人が考えているよりも、ずっと深刻だ。 彼女たちの現実を知るため、今月21日、僕は抗議集会に参加し訴えを聞いてきた。今回は、そんな彼女たちの悲痛の叫びをレポートしたいと思う。 (注:「じゃぱゆき」とは、日本へ出稼ぎにいくフィリピン人エンターテイナーのこと。かつて外地に売られていった日本の女性を「唐行き」と称したことになぞらえている。) <なぜ今、入国制限なのか?> 日本は芸能人として働く外国人に対して「興行ビザ」を発給している。このビザの発給の用件は、「1、二年以上の芸能人歴」・「2、教育機関で芸能の専門科目を二年以上専攻」・「3、各国政府が認定した資格の保有」のいずれかを満たせればよかった。しかし、昨年12月、日本政府は3番目の項目の削除を決めてしまったのだ。 実はフィリピン人のほとんどは、この3番に該当するフィリピン政府発行の「ARB(芸能人認定証)」でビザを取得してきた。このため今後、多くのフィリピン人たちは日本行きが困難になる。特に新規で日本行きを申請している若い芸能人は絶望的だ。 この項目が削除されることになった直接の原因は、アメリカ政府が昨年6月に発表した「人身売買に関する報告書」にあったといわれる。この中でフィリピンを「人身売買の被害が深刻なレベルであるにも関わらず、政府が適切な処置をしていない国」と警告した。また、これを助長しているとして日本も批判し、日比のビザ発給と資格審査の改善を迫っていたのだ。 デモのリーダーの一人、ダンサーのロメルさんはこう主張する。 「確かに人身売買という人権侵害は問題だ。日本政府の対策を支持する。だが問題なのは突然すぎることだ。関連業者との協議を行うなどして、もっと猶予がほしい」。 確かに突然の変更であり、準備もなしに急に転職を迫られた彼らの言い分も理解できる。彼の言うように猶予期間を設け、様子を見るぐらいの対応が妥当だと思う。ただ改正を急いだ理由はこのアメリカ政府からの批判だけではないようだ。 現地の「まにら新聞」の記事によると、日本政府は以前から比政府の発行する「資格証」の乱発を問題視しており、受け入れ制限の検討をしていたという。 毎年8万人のフィリピン人が、「政府資格証」に基づき日本行きビザを取得しているが、この中には芸能人としての能力もないのに発行を受けている人が多数含まれているということ。またこの資格証を発行する政府機関の汚職も発覚しており、偽造資格証などで入国したフィリピン人も相当数に上るという。 時期はどうであれ、このような不透明なシステムに何らかの対策を講じる必要はあるだろう。<後編につづく> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 1, 2005 01:18:51 PM
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