カテゴリ:ふと思うこと。
以前も書いたかも知れませんが、父の兄(わたしの伯父)は父と
同じ口腔ガンを患い、同じ病院(ガンセンター)に通院&入院しています。 伯父は、口の中の異常に気づいたのは早かったようですが、 それがガンによるものであると、近所の皮膚科、歯科、口腔外科では 気づけなかったようで、「だいじょうぶでしょう」という、 それらの医師の言葉を鵜呑みにしてしまいました。 そして病院を転々とした後、都心の大学病院でガンであることが 判明した時には、口の中のガンは、かなり進行してしまっていた状態でした。 わたしの父は無事、大手術を終え、傍目にも驚くほどメキメキと 回復してきましたが、二度目の入院をしてきた伯父のほうは、 目に見えて弱ってきています。 一度は手術したものの、術後の回復も悪く、現在ではすでに 手術も出来ない状態で、化学療法で治療しています。 言葉はしゃべれず、口の中の傷は悪化し、あまりの激痛に何度か救急車で運ばれ、 まだ手術から数ヶ月ですが、ついに2週間ほど前に再入院になりました。 同じ病棟の同じフロアに、兄弟で入院しているのですから、 身内も病院の方たちもびっくりです。 しかも見舞い客や看病する私たちも、二つの病室をしょっちゅう行き来する ものですから、看護士さんたちも混乱。 「兄のほうの家族です」「弟のほうです」と、いちいち説明しています。 その伯父ですが、先週末に一時退院となりました。 どうしても家に帰りたくなったそうで、医師の反対も押し切り、 一時帰宅を断行。 退院の日は、朝の3時から荷物をまとめ、ベッドの上に座って、 家人の迎えが来るのを心待ちにしていたそうです・・・。 わたしの母は、伯父に頼まれ、伯父が退院できるのを 見届けて欲しいといわれ、朝からお昼まで、 伯父のそばについていたそうです。 (自分の夫のほうはそっちのけで^^) その話し後から母に病院で聞いて、私はとても複雑な思いに駆られました。 伯父は昔からお酒もたばこも大好きな上、女性も大好き。 趣味も多彩で、話しも上手なため、女性にも人気があり、 聞くところによると、ここ数年は浮気も頻繁に繰り返していたようでした。 一方、伯父のお嫁さん(私の伯母さん)は、昔からとてもキレイで 品のある女性で、浮気する必要などない、男性からみても 女性からみても素敵な方です。 夫を立て、一歩下がって家族をしっかり支える、典型的な良妻賢母でした。 なんでもハイハイと伯父の言うことを聞き、ゴミだしはもちろん、 布団の上げ下ろしまで、結婚してから一度も伯父にさせたことがないほど。 しかし、ここ数年の浮気騒動で、さすがの伯母もあきれてしまったようです。 そして、伯父夫婦の関係はすっかり破綻。 言うことを聞かなくなった伯母に対し、伯父は時には暴力を振るうこともあったとか。。 伯父は反省することなく、全く家庭を顧みず浮気を繰り返し、 伯母は伯父に愛情を失い、家を出、離婚し、いつか自立することだけを 心の支えにしていたようでした。 そんな矢先に決定的な進行ガンが見つかり、伯父もショックだったでしょうが、 伯母のショックも相当だったようです。 「わたしが、この好き勝手に生きてきた夫の世話をしなくてはいけないの?」と。 伯父はそんな伯母に対し、 「お前なんかの世話にならなくても、オレのオンナに面倒見てもらうからいい!」 と、これまたサイアクな発言を繰り返し・・・。 (もちろんガンと知った浮気相手にはさっさと逃げられましたけど) そして伯母は心を病み、精神安定剤を飲みながら、伯父の看病を続けています。 伯母はわたしや母に会えば、伯父の悪口ばかり、苦労話ばかりになってしまいました。 伯母は夫からも主治医からも、伯父の病状を正確には聞かされていないようで、 転移なのか、再発なのか、それとも手術後の患部の壊疽だけなのか、 それすら知りません。 主治医が敢えて伯母にその話しをしないのか、あるいは伯父は伯母に 自分のかなり悪化した病状を聞かせたくないために、 主治医に口止めをしているのか・・・・。 そして伯母は思いあまって、主治医を問い詰め、どうにか聞き出したそうです。 主治医から戻ってきた言葉は、 「残念ですが、転移しちゃいましたね」という一言。 伯母としては、治療計画なり余命宣告なりをきちんとした形で 告知して欲しいという強い要望を持っていますが、なぜか 医師はそれを避けているようだったといいます。 (わたしの父の主治医と同じ先生なので、いい加減な先生というわけでは 決してなく、むしろ誠実で熱心な先生なので、 なんらかの意図があるとしか思えません) 問い詰めようにも当の夫は口も聞けない状態だし・・・。 なんだか伯母が哀れでしかたありません。 伯母の精神が弱りつつある、薬を使っているから、 医師は敢えて病状の宣告をしないのでしょうか。 それとも伯父が(どうせ妻はオレなんかさっさと死ねばいいと思っているから)と、 医師を言い含めて伯母をないがしろにしているのか、 いずれにせよ、伯母が気の毒でなりません。 伯父は入院はしているものの、治療らしいものはほとんど受けておらず、 今回はモルヒネによる緩和ケアがメインのようです。 入院直後は意識もはっきりしていて、わたしとも筆談で軽口を叩きあい、 気軽なコミュニケーションがとれていましたが、痛み止めやモルヒネの 副作用か、言動も怪しくなり、わたしの母や父もかなり心配していました。 そんな伯父が今さら冷えきった家庭に帰ったところで、どうなることやら・・・・。 それでも、傷みに耐えかね進んで入院してきたのに、 入院後は家に帰りたいと必死になって訴え続けたという伯父。 果たして伯母はどんな気持ちで伯父を受け入れるのでしょう。 夫の浮気以来、侮辱と屈辱だけに満ちた憎しみの日々だけを送ってきた伯母。 伯父が病気になったからといって、それが不治の病で余命 いくばくもないとわかったとしても、プライドの高い伯母は すぐに打ち消すことなどできないでしょう。 それでも伯母は、 「残りの人生が僅かなのだとしたら、今までのことは悔しいけれど、 本人が望むとおり、できるだけ家で穏やかな日々を過ごさせてやりたい」と、 伯父のことを言っています。 伯父はすでにふつうの食事もできませんから、家で看病するといっても 並大抵のことではありません。 一時退院は一週間の予定でしたが、病状が悪く、2泊3日に短縮。 それでも伯父は、たいそう嬉しそうに、娘夫婦に迎えに来てもらって、 にこにこと家へと帰っていったそうです。 (この娘も、父親の道楽三昧にはひじょうに厳しい意見を持っていて、 父娘、かなりの犬猿の仲なのですが・・・。) 伯母の人生、そして伯父の人生について、考えさせられることばかりで、 ここ数日、そのことばかりが頭の中をグルグル回っています(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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