その日の気分　Vol 2

朝食を食べて、旦那の病院へ・・・
娘たちと車から降りて玄関に向かうとき
私たちの前を、男性が歩いてました。

脳性麻痺と思われるその男性は、年の頃なら３０代半ば・・
ゆっくりゆっくり身体を揺らしながら目の前を歩いていました。

玄関を入った中央には警備員が、署名の後に面会カードを渡していました。

「眼科の病棟は何処ですか？」

顔をゆがめ、身体を揺らし、男性は警備員に尋ねました。
警備員は男性の発した言葉が聞き取れなかったのか、
２度ほど聞き返し、院内の地図を広げ始めました。

その時・・・・

大将が私の腕を引っ張って

「行くよ」

と・・・・

「どうせ、”一緒に行きましょうか”ぐらい声を掛けるつもりだったんでしょ」
「うん・・」
「だと思った！悪いことだとは言わない。お母さんの気持ちもわかる。だけどそれは警備のおっちゃんの仕事だよ。大丈夫、慣れてるみたいだね。優しく応対してたから」
「だけどさ・・・」
「あのね・・・私のしたことが冷たいって思ってるでしょ。そうかもしれないけど、あなたはそうやって全部抱え込むからツラくなるって事忘れないで欲しいですね。ったく！」
「病棟に一緒に行くことぐらい・・・・」
「だから、お母さんの気持ちはわかるって」

ガッツリ怒られた私・・・

「大丈夫、あの警備のおっちゃん、優しかったからきっと病棟まで案内してくれるよ」

誰に会いに来たんだろう・・・
お父さんかな・・・お母さんかな・・・
広い病院内・・・無事に行けたのかな・・・

やっぱり・・・一緒に行ってあげれば良かった・・・
呆れられても・・・

ちょっと後悔の残る出来事でした・・・