その日の気分　Vol 2

入居している爺ちゃん婆ちゃん達の身体は次第に弱くなっている。

半年前・・・大きく口を開けてご飯を食べていたのに
今は半分ぐらいしか開けられない

半年前・・・自分でトイレに行っていた爺ちゃんはもはや便が出たのもわからない

半年前・・・自分でご飯を食べていた爺ちゃんはご飯の最中にスプーンを置き、
ずーっと外を見ているようになった

日々の暮らしの中で、老いていく姿をずっと見ているのは正直辛い。
親と重ねるところもあるからだけど・・・

気分の変化、皮膚の変化、体調の変化・・・
少しの変化も見逃せない。命に繋がることだから・・・

だけど、自分の出来ることは限られていて
自分の知識も限られていて・・・

切ないなと思うことが多い

「あんた明日来るか？」

待っていてくれる婆ちゃんがいて

名前を呼ぶと笑ってくれる婆ちゃんがいて

「バカヤロー」等と暴言を吐くくせに手を握って離さない爺ちゃんがいて・・・

私に何が出来る？

そう考えると

正しくはないかもしれないけれど

いけないことかもしれないけれど

大好きだよ・・・って抱きしめてあげることぐらいしかできないのかも・・・

「愛菜恵さんが清拭したあとは綺麗だって言ってたよ」

主任ナースがボソッと言ってくれた。
他のナースが処置に来たときに思ってくれたらしい。

まだ頑張れるかな・・・・