その日の気分　Vol 2

爺ちゃんの娘さんが泊まりがけで会いに来ました。

年に何度か面会に来る娘さん
遠方のため、そう簡単にはこられない・・・

お会いするたびに、爺ちゃんにとって必要と思われる物を伝え
娘さんが送ってくれます。

「男性と女性では見るところが違いますもんね。」

と娘さん
確かに（笑）

爺ちゃんは相変わらず憎まれ口を叩いて

「ったく～娘さん来てるときぐらいもっと優しくしてよ」

なんて言ったぐらいにして・・

「昔は穏やかな方だったんじゃないですか？」
「そうですね・・・」
「やっぱり・・息子さんや娘さん見てるとそんな気がして・・・」

爺ちゃんとそっくりな娘さんは、とても優しい目で爺ちゃんを見ています。
離床介助で居室に入ったとき、娘さんは爺ちゃんの手をずっとさすっていました。
何も語らず、黙って爺ちゃんを見つめ、手をさすっていました。
爺ちゃんは、とても幸せそうに、穏やかに娘さんを見ていました。

このまま時が止まればいいね・・・

次の日、娘さんは帰りました。
爺ちゃんはとても寂しそうな顔をしていたけれど、すぐに忘れたようで・・・・

「ご面倒おかけしますがよろしくお願いします。」
「至らぬ点が多々あるかと思いますが、こちらこそよろしくお願いします。お気をつけてお帰り下さい」

会うたびに小さくなる爺ちゃんを、娘さんはどんな気持ちで見つめていたんだろう。

「また来ます」

そう言って笑った娘さん・・・

「是非また・・私の勤務日にいらしてください（笑）」

お互いに、そう何度も会えないことはわかっています。
爺ちゃんが日に日に弱っているのをわかっています。

娘さんにとって、爺ちゃんがどんなに大好きな素敵な存在だったか
二人の様子を見てわかります。

切ないけれど、爺ちゃんの幸せそうな顔を見て
親子っていいなと思っていました。