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2009年03月02日
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短編5作からなる上質なファンタジーです。

読み始めてすぐに、なんとも心地よい透明感のある世界に引き込まれました。

ケルト民話をベースとした、どこか懐かしくも物悲しいストーリーなのですが

作者が日本人だからか、外国ファンタジーモノにありがちな思想的な違和感は皆無で

心の深い部分で共感できる作品でした。

     

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

人々に降りかかる災厄を打ち払う「祓いの楽人」オシアン。その名は伝説の祓いの楽人と同じであり、その人間離れした音楽の才を妖精の女王ニアヴに愛され、妖精のあいだにしか伝わらないはずの数々の歌を全て口伝えに授けられたとされる人物だった。オシアンは、相棒のブランとともに世界中を旅し、この世に未練を残した魂や悪鬼、「愛を歌うもの(ガンコナー)」たちを、彼の竪琴が奏でる調べで救っていく…。ケルト民話と著者の独特の世界観が作り上げる、切なく、悲しいファンタジーミステリー。


竪琴を奏でることによって災厄を打ち払うチカラを持つ美貌の青年オシアン。

「僕の命はオシアンのもの」と言い切り、オシアンのために危険を顧みない少年ブラン。

全編に登場するこの2人も魅力的ですが、彼らは主役であって主役ではありません。

物語の焦点は、彼らによって祓われることになる「死してなお彷徨い続けている魂」と、

「愛する者を失った深く切ない哀しみを抱く人々」です。

5つの作品に登場する彷徨い出た魂には、どれも悲しい物語があります。

3話以降なんて、私はどの話も読んでて思わず涙ぐんでしまったくらいです。

ま、涙腺が緩いってのもあるんですがw雫

この本は、オシアンとブランを探偵役とした、「かつて起こった悲劇を解き明かす」

一種の推理小説として読むこともできます。

なぜ魂が彷徨い出て、本来あるべきところに行けないのか。

何にとらわれているのか。

オシアンとブランによって、人々が信じていたことと事実があまりにも違うことが

解き明かされていくシーンには胸を打たれます。

そして、優しい竪琴の調べに包まれて魂が安らいでいくシーンは圧巻です。

読後感が良いのは、この作品の中の「祓う」が「救い」であるからなんだろうな。


でもね、最大の謎は、この主役2人の存在だったりするの。

特にオシアン!彼なんて最重要人物なのに性格すらよくわかんないのwww

なぜ、声を失ってしまったのか。裏切り者と呼ばれるのか。

伝説の楽人(バルド)本人なのか別人なのか。

いつから存在してて、どれだけのチカラをもっているのか。。。

・・・・・こんなに謎だらけの人が主役ってのもすごいよね。

続編はいつ出るんだろう?

このシリーズ、続きがとても楽しみです音符






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最終更新日  2009年03月02日 11時40分24秒
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