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想い出は心の宝石箱に。。。

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2023.11.02
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カテゴリ:創作
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                              ​     第二章

 

   黒田からの誘いを受け、なぜいとも簡単に男と女の関係になったのか、いま

 考えても
 冴子にはよくわからなかった。もしかしたら、冴子の深層心理に、その

 ような女と
しての欲望が、もともと蠢いていたのかもしれない。

 


  
Norwegian Getaway Cruise Ship, Southampton, United Kingdom. Architect: SMC Design, 2014. Sunset bar.

 

  約束の場所に出向くと、洒落たバーのカウンターに、黒田が一人で座りながら、

 グラスを
傾けていた。


( おばんです。遅くなってすいません。お待ちになりました? )

 ( いや、僕もいま来たばかりですから。ここ、すぐわかりましたか? )



 カウンターの灰皿に、タバコの吸い殻が数本あることから、黒田がかなり前から

 来て
いたことがわかる。

 

( え~、うちの会社は行事があると、なにかとこのホテルを、利用しています

  から。)



    何気ない会話から始まり、幅広い黒田の話題につられ、冴子の心は次第にはずんで

 きた。
 洗練された黒田の受け答えは、中小企業で汗水流しながら働いている夫とは

 違い、総てが
冴子にとって新鮮であり、また興味がつきなかった。



  芳醇な香りの赤ワインが冴子を酔わせ、いつもより饒舌にさせていた。

  黒田は冴子の顔を見つめた。アルコールでほのかに上気し、自分の話に興味深げに

 耳を
傾けている。

 

   研究室の助手千佳とは違う、成熟した女の色香を、冴子には感じる。

  千佳と黒田は肉体関係にあった。しかし、それはお互いの性欲を満たすだけの、

 単なる
男女関係に過ぎない。少なくとも、黒田にとっては。

 

 

    バーでスピリットボトルでいっぱいのスタイリッシュな壁 - bar カウンター ストックフォトと画像                                        


     
 ( 冴子さんには、妻と母と女という、三つの顔がありますよね? )


   黒田の唐突な質問の意味が、冴子にはよくわからなかった。



  ( つまりですね・・・日常生活の妻として、母としての顔。でも、それらに

   隠されて
いるけれど、冴子さん本来の女としての情念・・・愛や性がある

   はず。それを僕に
くれませんか?? )


 黒田が真剣な顔つきで、冴子に問いかけた。


  ( えっ!!それってもしかしたら、私をくどいてるの?? )


 ( そうとられても、構いません。 )


  明らかに、冴子が動揺しているのが、目の動きでわかった。

   ここで退くべきか、それともさらに攻めるべきか・・・

         

 ( 既婚者が恋しては、いけないのですか? )



   黒田は追い打ちをかけるように、冴子に問いかけた。

 


 
スタイリッシュなマティーニ - カクテルのロイヤリティフリーストックフォト     



    結婚してからは特別な関係を、夫以外の男とこれまでもった事はなかった。でも

    それは、既婚者は恋をしてはいけないというより、心をときめかす相手に、遭遇

 しな
かっただけなのかもしれない。


 営業所内で一番の美人と噂される冴子だけに、取引先
の男性からの誘惑は日常

 茶飯事のようにあった。しかしそれらは戯言として、いつも
聞き流していた。




  友達から黒田を紹介された時、やさしさの中に、毅然とした男の生き方を持って

 いる姿に
初対面の印象はよかった。冴子の対面する実業界ではなく、大学で

 教鞭をとっ
ていることも、興味をそそった。そうでなければ、こうやってわざわざ

 逢いに、くること
ない。

 

 小一時間も、楽しく話した後だろうか、

 

 

       スタイリッシュなマティーニ - カクテルのロイヤリティフリーストックフォト

 


 

 ( それでは部屋で、待っているから。 )


   と、< 608 >と書かれたコースターを、冴子の前に置きながら、黒田は

  立ち
あがった。


  入り口で清算している、黒田の後ろ姿を目で追いながら、冴子の胸はなぜか

 高鳴った。

 


    走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ   ==つづく==   走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ

 

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Last updated  2023.11.02 12:39:15
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