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カテゴリ:旅、それは人生そのもの
旅行4日目(アクスム→ラリベラ)前編 午前中に飛行機でラリベラへ向かうため空港へ。 TシャツGパン姿である荷物チェックのお兄ちゃんを見るにつけ、 「こいつは敵か?味方か?」 なんて疑念が頭をよぎる・・・。 飛行機までの時間に土産物屋をチラリング。 絵画や十字架など、エチオピア正教に関するグッズが多い。 ギョロっとした目を持つ人々の描写には特徴があるが、よく見ているとこんな残酷な描写もある。 何かの物語が描かれているのだろうが、表情が変わらずに淡々と行われているのがよけい怖い・・・。 ふと、店のおじさんに話しかけられる。 店主:「何か探してるものがあるのかい?」 私:「いや、ただ見てるだけでーす」 土産物屋で展開されるありがちな会話である(笑)。 この時の会話はこれで終わったのだが、ちょっと後に空港の待合室のベンチで隣合わせになった。 (心の中で)「ちゃんと店番しろよ~」と思ったが(笑)、今回は商売抜きでの会話となり、小泉首相のエチオピア訪問やビジネス界における中国の台頭などから始まり、よもやま話を楽しんだ。 聞けば彼は空港に2店舗、アクスム市内に2店舗の土産屋を展開する47歳の経営者で、店の従業員のほかにも2人の運転手を抱えている。 大学では生物学を専攻していたそうだが、「生活のために」土産屋を始めたという。 今ではドイツやドバイにビジネス出張もするという彼に自分の興味から質問を投げかけてみた。 私:「エチオピアのビジネス文化というものをあまり知らないのですが、経営者としてどのように従業員をコントロールしていますか?」 彼の答えは「私は従業員を信用していない」というものであった。 彼らが店の品物を盗む、あるいは売上の一部をちょろまかするのをある程度は覚悟しなくてはいけない、と。 それに対し、在庫や帳簿の管理をしないのかと聞いてみたところ、「それにかける費用よりも今あるマイナスの方が少ない」との現実的な回答が・・・。 一般化することは危険であるが、この旅行を通じてエチオピア人は警戒心が強い、というか人を信用していない部分を感じた。 例えばエチオピアにある家にはやたらと鍵が多い。 出入り口のドアはもちろんのこと、一つ一つの部屋、たんす、そして電話のダイヤルにまで、鍵と鍵穴がついている。 あれだけの鍵を全て持ち歩いていたらえらい数になるはずだ・・・。 経済的な余裕のなさがそういう姿勢を生んでしまうのかもしれないとも考えさせられる。 逆に質問を返された。 おじさん:「日本はあれだけ質の高い製品を作るんだから従業員のモラルも高いんだろ?」 私:「う~ん、そうかもしれないけど、チェック体制がしっかりしているから抑制力の成果と言えるかもしれないですね・・・」 昨今の監査法人の不正や官製談合を鑑みるにそうも言えない部分もあるが・・・。 私が医療関係で働いていることを説明すると、「利益追求の商売より公共サービスに近い病院とかの方が競争が少なくて楽なんじゃないの?」とおじさん。 そうは言っても組織が存続するためにはマイナス収支は許されないし、需要と供給は考えないといけないでしょうと反論した。 というわけで我々の結論。 「There's no simple work(世の中に簡単な仕事はないね)」 働く者のモラルの難しさについて考えさせられた会話であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/05/14 02:24:06 AM
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