ベトナム人がレイシャルハラスメント?!と日本人オバサンのひそかな願い
私が入社したばかりの5~6年前の職場は日本人の社員とパート、日系のブラジル人と日本人の派遣で動いていたけれどココ数年で勤務している従業員の半数以上がベトナム人の若者で占められる様になった。近年、ベトナムからの人材は、日本の外国人労働者の約4分の1を占め、いまや日本国内には40 万人以上のベトナム人が働き、その数は年々増加傾向にあるというのだから日本人が勤め始めてもスグに辞めてしまう様な我が勤務先ゆえにいつの間にやらベトナム人だらけになるのも当然かもしれない。日本人にでさえ《人見知り気味で名前と顔を覚えるのを極力避ける傾向》の上に、(人間関係をできるだけ手狭にしたい。ある意味・・・人間嫌いかもしれない私)《カタカナ名前嫌悪性》でもある私。(学生時代、推理小説好きの私が外国小説嫌いだったのはカタカナ名前が苦手だったからだ)なので、カタカナ名前のベトナム人とは仕事以外で関わりあうなんて全くと言って無い。都合良く私の持ち場は女性少人数で構成され、日本人、日系ブラジル人、それにベトナム人自体は限られた数人でのローテーション作業となっているので会話も私自身は至って少ない。しかし、週に何度か持ち場が変わり、相性の良いベトナム人女子が2人以上になった時がちょいと厄介だったりする。・・・仕事中の会話が始まるのだ。無論、ベトナム人同士だから語る言葉はベトナム語。場合によっては3人以上になり、私独りが日本人て~時もあるので。日本にいるにも拘らずベトナムで仕事している様な気になることもしばしば。こちとらベトナム語か中国語かも区別もできない無教養な日本人でも、どう考えたってあなた達、仕事の話じゃないでしょ?!って思える笑いまじりのしゃべり調子にカチンとくる時もたびたび。ベトナム人が勤務する以前は、日本語以外が飛び交うことも無く無駄話を長々としていたりすれば社員なり、怖いオバサンが注意をしたものだ。しかしここ最近はもっぱら理解のできないベトナム語が行き交い、日本人には無駄な会話であるかも分からないこともありおいそれと注意ができないのでイライラ。ベトナム人のおしゃべりがココだけの問題かと思って違う場所で働く日本人に尋ねてみると「ホントによく喋っててうるさいのよ」「何しゃべってるか分からないから注意し難いんだから」全くベトナム語を理解できない者にとってあまり長く会話を続けられるとイライラしてストレスも溜まってくる。彼女達の語り合う言葉は、時に鳥同士のぴーちくぱーちくくらいに思えたのが最近は、聴きたくもない下手な歌手の歌を無理矢理聴かされているくらいになり、黙って仕事に専念している者にとっては、苦痛でしかなくなった。時に・・・私の頭の中で始まるのは「え~、日本には女性を表す『女』いう漢字があります。 これが3つ集まると『姦』という字になって 『姦しい』(かしましい) と読み、おしゃべりで賑やかで騒がしいことを意味してます」 一度漢字で書いたメモでも渡して煩くて迷惑なのを伝える姿を想像してみたりもする。 キンギョソウ【花言葉】おしゃべり posted by (C)くろすけcat世間には他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることがハラスメントなんて言葉があるし、なんでもハラスメントにされそうな世の中になっている。大きな企業じゃ社内公用語を英語にするとか、日本語禁止とかあった。いっそのこと仕事中はベトナム語禁止にしてくれないかとも思ったけどそれじゃ~いくらなんでもマジでレイシャルハラスメント(人種、民族、国籍に関する、不快かつ不適切で配慮に欠く言動)になってしまうのだろうか?そんなある日、週に1~2度共に働く30代日系のブラジル人Kさんがベトナム人に言った「ダメよ~日本にいるんだから日本語話さないと!」彼女は日本語はそんなに上手には話せないというけれど会社内で使う言葉は日本語で、支障にならない程度に会話できる。その彼女がベトナム人に言ったその言葉に私はちょいと感動した。(ベトナム人のおしゃべりを、他国の人でもそう思ってたんだ~)ベトナム人達だって社内で通じる程度の日本語会話は学んで来ているのだし、日本語を共通語として作業する場所であるのだから、仕事中や他の国の人がいる時は過剰な母国語は遠慮すべきだ。ベトナム人だけで仕事をしているならそこまで言わない。多国籍であることを意識して、自分たちの会話が聞こえる範囲に他国の人がいる時くらい必要以上の私語は慎むべきだ。と、内心思っている私。故に、時にブチ切れて20代のベトナム女子達に向って「いつまでしゃべってるの! 手を動かしてれば口も動かしていいワケじゃないんだから いいかげんにしなさい!」(仕事は真面目に取り組むベトナム女子達ではある)因みに・・・たまにベトナム男子が加わる時があるが、普段、自ら進んで挨拶もろくにしないベトナム男子は女子との仕事中はじょう舌になる様で、作業する手は止まったままだったりする。その時怒った私は「口を動かすのと同じに手も動かしなさい!」ベトナム人達が理解できたかどうかは疑問だけど数分後にはそれまでよりも小声になってまた話し出す。これだけイライラを我慢した上に怒らせて、血圧上がればこちらだって、立派なハラスメントやらを受けてるじゃないか、と、思う。日本に居ながらにしてベトナム人に逆にハラスメントされてる様にも感じる。ベニカナメモチ【花言葉】賑やか posted by (C)くろすけcatそんなある日、あれだけ多人数でわいわいしていたベトナム人の若者達がパタリと姿を見せなくなった。忙しい時期だと言うのに、猫の手も借りたいそんな時期にベトナム人が一人もいないことに愕然となる。おしゃべりが多すぎても、仕事中に鼻歌歌ってても、気働きなんて無いのが殆どだけど、よく働くベトナム人がいない噂によるとこのコロナ禍、一部のベトナム人が禁止されているはずのパーティーをやったとか?!でコロナ陽性者が出てしまったらしい。どんな状況であったのか詳細は不明だが濃厚接触者の判断が大変だからか、連帯責任だったりするのか、ベトナム人全員出勤停止になった。現場で働く者にとっては、寝耳に水。この忙しい時期に何やってくれちゃってんの?!である。しかし、ベトナム人がひとりもいなかったこの期間、数年前のベトナム人がいない静寂な職場に戻った。皆、口々に語るのは 「ベトナム人いないとこんなに静かなんだね~」作業中精神的に落ち着いたというのは正直、本音である。そんな時期も一週間もしたら徐々にベトナム人は増えて元に戻って行った。・・・そして先日、日系ブラジル人のKさんが部所移動を願い出たことを聞いた。私 「隣りの部所に移るって聞いたけど、本当?! あっちは口うるさいオバサンがいっぱいいるっていうのに」Kサン「ベトナム人のおしゃべりがうるさいのより 日本人のオバサンが口うるさい方がまだ我慢できるよ」なんと、ベトナム人のおしゃべりが嫌だから移動を願い出たというのだ!私にとって仕事上、濃厚なベトナム人口を希釈して、精神的に安堵感を与えてくれる希少な人材であるKさん。この先一緒に仕事もできなくなったことは、かなりガッカリものだった・・・これもベトナム人のおしゃべりをいつまでも放っておく会社の管理能力にも問題があるんじゃないかと最近は、会社側に文句が言いたくて仕方ない。 エーデルワイス【花言葉】勇気と忍耐 posted by (C)くろすけcat10年程前までは身近に国籍の違う人間が働いていることじたい、かなりの違和感があったはずなのにいつの間にかそれが当たり前の日々になってしまったこの頃。我が勤務先ではベトナム人の実習生として最初の頃に就労し、顔見知りだった20代前半のベトナム女子Hさん。既に去年の春に実習期間を終えて家族、幼子の待つベトナムに帰国予定だったのに コロナ禍のせいで帰国が延びた数ヶ月後にようやく帰国の順番が廻って来て帰国の途についたとの報告を聞く。本来の目的を全うして無事家族の下に帰国できるのは幸せなことだと思う。先日は、あるベトナム男子に「おねえさん、おねえさん」と、声をかけられた。「今日でココ終わりです、今度は岩手で働きます」「岩手?!東北か~身体こわさない様に頑張ってね!」若者は笑顔で会釈して去って行った。帰国ではなく岩手??ちょいと疑問に思って、調べて見れば2020年4月から、新型コロナウイルスの影響により、技能実習の継続が困難となった実習生や、実習期間が終了したが帰国が困難となってしまった外国人に対し、同業種・異業種での転職(再就職)が可能となったという話。 コロナが世界中に蔓延しなければ無事に日本での目的を終えて家族のもとに帰国できたベトナム人は多くいたはずだ。挨拶に来てくれたベトナム男子も詳細を聞く事はなかったが「帰国できなくなったから岩手の職場に転職したのかなぁ」と、察する。何にしても、帰国できなくなった彼らの居場所がきちんとあることは素晴らしいことだ。そう思うのもここ数年、ベトナム人に関わる悪いニュースが増加していることが気になっていた。2017年から外国人検挙件数の国別割合ではベトナム人が1位。昨年、我が故郷である群馬、北関東方面で家畜や農作物が大量に盗難にあった事件にベトナム人が関わっていた事にもいささか衝撃があった。「わざわざ日本にまで来て犯罪することないでしょ! 日本に迷惑かける為に来たわけじゃないでしょ!」って、その都度思ってしまうニュースが後を絶たないのだ。検挙されるベトナム人の8割近くは、現役の実習生、元実習生の不法残留者、そして留学生だという。学ぶため、働き稼ぐために遥々海外からやってきたはずの若者が犯罪者にならなければならなかった理由・・・実習制度では事前の日本語研修の費用、渡航費は日本で実習生を受け入れる企業が支払う決まりで、来日する人材には金銭的負担が強いられないよう定められているそうだがその多くは《日本に来れば稼げる》と思い込み100万円前後の借金をし、来日するという。しかし、新型コロナウイルスが蔓延する以前から劣悪な労働環境に耐えかねて実習先から失踪するベトナム人が存在。中には病で帰国もできず若くして亡くなったり、自死する者もいるという。そして追い討ちをかける様に、新型コロナウイルスの影響で実習先が破産したり、解雇されたりで働く場所を失った挙句に生活することさえ困難になるベトナム人が急増。借金を返すことは無論、家族や愛する者達に仕送りもできない上に行き場を失って生きて行く為にベトナム人が辿り着くのは犯罪となってしまうらしい。だから、たびたび思ってしまうのは、私と同じ職場で働くベトナム人達は、コロナの影響としては、会社自体の売り上げの低下によって給料が減額するくらいで倒産して職場が無くなる程ではなく、劣悪な環境下で仕事を強いられていることもない。コロナ禍やそれ以前に散々な状況に陥っている同胞に比べたらまだ救われているのではなかろうか・・・ってなことで。自分の息子よりもずっと若い青年たちが多くの借金をして、海を渡った異国にまで来て必死で稼いでいる。生るか死ぬかの境で苦しんでいる同胞がいることを知ってか知らずか彼らははたしてそれを意識しているかを尋ねても仕方ない。ろくに言葉の分からない国で、ベトナム人皆が必死であることに違いない。おしゃべりくらいでトヤカク言ってる日本人のオバサンはナンだか小さくみみっち~人間に思えたりもする。親、兄弟姉妹、子、愛する者たちの為に働いているのであろうベトナム人の若者に比べたら二十歳で駆け落ち家出して、親姉妹親戚一同に迷惑しかかけなかった私なんて彼らに小言を言う資格だってないのかもなぁ~と、思ってもみる。そうであっても願うことは我が職場で働くベトナム人達には全員に、念願通り稼いで無事に祖国に帰る日が来ることを願っているオバサンである。(でも『勤務中の私語は慎むべき』というのは譲れませんね~)