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5月4日 午前10時30分
道の駅[萩往還公園]はエイドの他に売店などもあり、ランナーや観光客で賑わっていた。日射しも強くなり、ここで生ビールを飲んでいる人が本当に羨ましかった。残り時間を考えると『一杯くらいなら…』とも思ったが、万が一があったら悔やむに悔やみきれない。ポカリを一杯いただいて出発した。 6時間ぶりの萩往還道、往路では〔えげつない〕と表現し、下るのもキツかった山道。やはり登りは更にしんどかった。まだ時間に余裕ができてた分だけ救われた。ここで時間に追われていたら、かなりヤバかったと思う。無理のないペースで、けど足を止めないように登り続けた。 30分ほど歩くと、明木市に着いた。 行きに通った時は、ひっそりと静まりかえっていた街並みが、今は縁日のようにたくさんの人が行き交っていた。雰囲気だけ楽しんで歩いて通過すると、直後にあららさん親子に会う事ができた。 『すごいね早いね』と言ってくれたが、ここまで来た息子さんの方が凄い、と僕は思った。 足元がふらついていたので、しきりに身体の心配をしてくれたが、問題ない事を伝えた。 別れ際に 『んじゃ、完踏してきますんで』 と言った。残り25kmのところまできて、ようやく自分の中でゴールを射程圏内に感じる事ができた。 明木市を出ると、次の佐々並エイドまでは約10km。この間で、復路最大の難所となる一升谷を越えなければならない。時間は十分な貯金ができたので、もう大丈夫。でも怪我をしたり、力尽きて足が動かなくなったら、そこで全てが終わってしまう。これまでと同様、慎重に進んだ。 往路ではライトで照らす道しか視界に入らなかったが、今はどこまでも続く上り坂を見ながら登らなければならない。登れど登れど終わりの見えぬ坂。追い打ちをかけるように石畳の坂が現れた。 うんざりした。 何かにすがりたい一心で、落ちている木の枝を杖の代わりに使ったりしたが、腕は鍛えてなかったので、すぐに疲れてしまった。もう足に頼るしかなかった。どこまでも続く長い上り坂に、足は一杯一杯になり痛みも増してきたが、止まる事はなかった。一歩一歩、ゴールに近づいている事を思うと、自然と痛みも忘れられた。 なんとか上りきり、足元の悪い下りを走りを交えながら下っていくと佐々並エイドが見えてきた。 残る山はあと一つ、萩往還最高所[板堂峠]だけだ。 [もう少し続く] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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