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ロドリゲスとらのこども・超克編

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2007.05.21
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 台湾は日本の生命線  2007.02.07
日本李登輝友の会HPはhttp://www.ritouki.jp/ より転載。

  今年は日本と中国の国交樹立から35周年ということで、さまざまな交流活動が企画されているようだ。しかし、この陰で忘れられがちなのが台湾との国交断絶からも35周年を迎えることだ。国交のない日本と台湾だが、実は現在の日台関係は最良の状態にあるといってよい。

昨年の6月に発表された台湾のビジネス誌「遠見」(グローバルビュー)による「海外についての台湾人の見方に関する世論調査」で、
「移住したい国」では、日本(32.3%)、米国(29.1%)、カナダ(26.5%)、
「最も立派だと思う国」では、日本(47.5%)、米国(40.3%)、中国(15.8%)、
「旅行したい国」では、日本(52.7%)、米国(28.2%)、中国(17.2%)となり、
それぞれで日本が第1位を占め、これまで第1位だったアメリカを逆転している。   

また、昨年10月、台湾智庫(台湾シンクタンク)による「米国人・中国人・日本人・韓国人に対する好感度世論調査」でも、日本人がやはり第1位(35%)となり、続いて米国人(32.5%)、韓国人(10.5%)、中国人(8.6%)の順となっている。   

では、一方の日本はどうかというと、平成14年(2002年)に米国とともに台湾がWHOへオブザーバー参加すること支持し、外務省が22年ぶりに内規改正して課長級までの訪台を可としたころから、日本の台湾に対する姿勢が徐々に明確になってきている。   

翌15年12月には、台湾でも日本のナショナルデー・レセプションとして天皇誕生日祝賀会を開催している。 世界のナショナルデーは、アメリカが7月4日の独立記念日をその日としているように独立記念日が多い。一方、ドイツなら10月3日の統一記念日、タイなら12月5日の国王誕生日と、その国にとってもっとも大切な日が選ばれ、日本は12月23日の天皇誕生日をナショナルデーとしている。各国の在外公館が年に一度、当地の要人数百人を招いて開催する一大イベントがナショナルデー・レセプションであり、アメリカやフランスなどの大使館では、招待客も1000人以上になるという。   

これを断交後、初めて台湾で開いたのである。もちろん中国でも開いているが、台湾を自国の領土だと主張する中国政府が猛烈に抗議したことは言うまでもない。しかし、台湾では翌年も翌々年も開催し、昨年は李登輝前総統も出席して開いている。   

その李登輝氏の観光を目的とした来日に日本政府がビザを発給したのは平成16年12月のことであり、李氏の来日にノービザ方針を表明したのは昨年3月だった。心臓病治療のための来日に、ビザ発給を巡って大揉めに揉めたのはつい5年前のことだ。   

また、平成17年2月には日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2において、その共通戦略目標に「台湾海峡問題の平和的解決」が盛り込まれたことは未だ記憶に新しい。   

この年の春からは台湾人に対しても叙勲がなされるようになり、愛知万博を契機に、9月末からは台湾からの観光客にノービザ措置を実施し、昨年末には国際免許証の承認方針を打ち出している。その結果、昨年は台湾から日本へは初めて130万人を突破し、日本から台湾へは116万人と、合わせて約250万人にもなっている。   

因みに、昨年の訪日外国人は、韓国(211万人)、台湾(130万人)、アメリカ(81万人)、中国(81万人)、香港(35万人)の順となっていて、台湾と日本は国交がないにもかかわらず、年間250万人もの人が行き交うこと自体を不思議としなければならない。   

中でも日本政府の姿勢として注目すべきは、新年早々の1月4日、日米安全保障協議委員会が共通戦略目標に掲げた「台湾海峡問題の平和的解決」の具体化について、この2月から日米の外務、防衛当局者が中台有事に至る複数のシナリオ研究に着手すると報道されたことだ。このシナリオ研究では、「台湾の独立宣言」や「中国側からの武力行使」など複数の可能性も探るというのだから、まさに画期的と言ってよい。すでに対処計画の前提となる有事シナリオ研究から始める段取りについて、首相官邸は了承を与えたという。   

その他にも、日本が台湾への最大の投資国になるなどまだまだ日台交流の深化を示す例証はあるが、日本政府の台湾への対応をつぶさに見てくると、「一つの中国」政策を取りつつも、台湾を「統治の実態」として容認しつつあることがよく分かる。   

実は安倍内閣になってから、台湾に対する姿勢はよりいっそう鮮明になってきている。例えば、昨年10月の訪中もその一つで、この訪中で中国との「戦略的な信頼関係」を構築したことによって中国の日本に対する言動に制限がかかり、これまでのような一方的な物言いができなくなった。つまり、中国の口を封じたのである。日中関係の改善は、台湾にプラスにこそなれマイナスに働くことはないと判断した安倍総理の読み勝ちである。   

それは、訪中以後の日台の動向によく現れている。10月末には中川昭一・自民党政調会長が陳水扁総統とテレビ会談を行い、11月には森元首相が訪台している。日本が中国の機先を制して、マラッカ海峡の海賊船対策を講じる海賊情報共有センターのトップである事務局長を押さえたのも、この11月であった。今国会では海洋基本法も成立する。   

マラッカ海峡は日本の1000カイリに及ぶ南西シーレーンにおける重要ポイントの一つであり、台湾海峡も同様である。先にも触れたように、日米はこの2月から「台湾海峡問題の平和的解決」を具体化する作業に入る。   

もし台湾が中国に併呑されたら、南シナ海はもとより台湾海峡も東シナ海も、果ては太平洋までも中国の海と化し、日本は立ち行かなくなる。岡崎久彦氏は「アメリカも世界から見捨てられる。台湾問題こそ世界の運命を決する」と剔抉しており、台湾が日本の生命線である所以である。   

安倍総理は、中国の口を封じている間に着々と外堀を埋めていた。いずれ近いうちに集団的自衛権も行使できるようになるだろう。そうなれば、日本は堂々とアメリカと共同演習ができるようになる。それだけで台湾海峡は安定する。   

もちろん、日本に問題がないわけではない。 例えば、台湾出身者の外国人登録証明書ではその国籍を「中国」とし、運転免許証の国籍も「中国」としている。検定済みの学校教科書や地図帳では台湾を中華人民共和国の領土の一部としていて、改善すべきところは少なくない。日本版「台湾関係法」を求める声もまだまだ少ない。台湾とは「実務関係」と位置づけているものの、実務関係を充実させるためには、課長級の訪台ではなく局長や次官級の方が理に適っているが、そのような議論もない。それ故、未だ明確な台湾政策を立てられず「一つの中国」に縛られているのが日本の現状でもある。   

しかし、これまで述べてきたように、日本政府の台湾に対する姿勢は5年前には想像もできないほど変わってきている。   

一方の台湾は、世論調査に見られるように、日本への期待は高い。しかし、今の台湾は混迷の極みにある。少数与党の上に、金銭トラブルに見舞われた陳水扁政権はほとんど機能していない。今年12月には、初の小選挙区制を導入して定数を113議席に半減する立法委員選挙があり、来年3月には総統選挙が予定されている。台湾の民主化路線が継承されるかどうか、今年の台湾はまさに剣ヶ峰に立たされていると言ってよい。   

日本の台湾を視野に置いた具体的な措置は緒に着いたばかりである。だが、台湾問題に果たす日本の役割は年々大きくなっている。台湾の方向性は日本の対応いかんにかかりつつある。台湾が日本からのこのようなシグナルを正確に受け止めてくれているのかどうか詳らかではないが、台湾の指標は、決して政治的判断がぶれない李登輝前総統以外に見当たらない。今後ともその動向を注意深く見守っていきたい。

日本李登輝友の会常務理事・事務局長柚原正敬 氏(ゆはら・まさたか)
<略歴>昭和30年(1955年)、福島県生まれ。早稲田大学中退。同57年、専務取締役編集長として出版社「展転社」を創立し、主に天皇、靖国、大東亜戦争、南京、台湾に関する単行本約130冊を担当編集。平成7年、台湾研究フォーラムを設立。同14年、日本李登輝友の会の設立とともに常務理事・事務局長に就任し現在に至る。共著に『世界から見た大東亜戦争』『台湾と日本・交流秘話』など。

<編集部注>柚原氏が切り盛りする日本李登輝友の会HPはhttp://www.ritouki.jp/です。役員欄をご覧下さい。我が国を代表する錚々たる顔ぶれが並んでいます。皆様、是非お立ち寄り下さい





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最終更新日  2007.05.21 13:01:11


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