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盧政権と韓国大統領選
日本を取り巻く国際情勢/山本善心の週刊「木曜コラム」より、ご紹介します。 時局心話會 代表 山本善心氏 注目の野党ハンナラ党の大統領候補指名選は、公認候補である朴槿恵候補(55)との一騎打ちで、李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長が勝利した。李・朴氏は票差2452票の接戦で、直接投票(一般国民や党員対象)で朴氏が一歩リード。しかし今回から電話世論調査結果(朴30%、李40%)が加味されたことで李氏が逆転するという、選挙システムによる辛勝であった。敗北した朴氏は李氏と笑顔で握手し、「敗北は敗北として認めたい。李氏の勝利を祝福したい」と宣言。 朴氏の敗北宣言と潔い態度に、居合わせた有権者は拍手と歓声を贈る。候補指名での選挙戦は事実上泥沼的な非難合戦であったが、李氏の勝利に寄せた朴氏の鮮やかな引き際は爽やかな後味を残すものであった。 李氏は「私と手を繋いで政権交代の道に進もう」との熱い思いを投げかけたが、指名候補の決着がついた以上、朴氏も韓国保守の再生のために同意・協力を惜しまないと見られる。選挙後のトラブルが常態化している台湾とは事情が違うとはいえ、自由と民主国家としての模範をしました、後味のよい選挙戦であった。 李明博という人物 李氏の両親は、かつての植民地時代に韓国から大阪に渡った。敗戦で李氏が両親とともに韓国に戻ったのが4歳の時。その時代の韓国は、今の北朝鮮に近い貧困の時代である。李少年もマッチや餅を露店で売って飢えをしのぐしかなかった。大学時代もゴミ回収の肉体労働で生活費と学費を工面しながら卒業したという。 高麗大学時代には学生運動家となり、2年生で投獄されたこともある。李氏は朴氏の父・朴正熙政権時代に起きた日韓国交正常化反対デモを指揮する学生運動の大幹部であった。一方の朴氏は母の死後は父・朴大統領のファーストレディを務めている。育ちの良さと経験から来るマナーの良さは、朴氏の歴史を物語るものだ。 李氏は大学を出てから、実力のみが問われる経済界を選択し、現代建設に入社した。創業者の鄭周永(チョン・ジュヨン)氏は李氏の実力を見抜き、わずか35歳で社長に抜擢する。70年代は全斗煥大統領のもと「漢江の奇跡」という時代の波に乗り、李氏は現代グループの隆盛に貢献した。 ソウル市内の景観実績 李氏は92年から政界に転身、国会議員を二期務めた後、2002年にソウル市長に当選。現代建設時代にはマンションの周囲に緑をたくさん植樹するなど、単なる金儲け主義ではなく自然と共存する理想の住宅を建設した。ソウル市長時代には現代建設での経験を生かし、汚い都心の橋や川の復元に努める。 李市長は都市改革やソウル景観の復元、交通体系を改革し、公園や美術館を増やした。ソウルの中心を流れる清渓川の復元は、ソウルが世界的な近代都市として評価される大事業であった。李氏の持つ住宅理念、夢とロマンの大計画に、当初は反対する市民も多かった。 しかしこれだけの政治的実績を持つ李氏とは言え、今回の選挙では決してすんなりとはいかなかった。予備選の最中にも不正蓄財疑惑による道徳性を追及されていた。これは朴氏側から持ち出されたものだが、“政治とカネ”をほじくり出せばきりがない。 韓国の赤化統一運動 李氏がハンナラ党の大統領候補に決まったことで、与党陣営も“統合新党”作りに着手しているが、なかなか決定的な候補者は出てこない。与党ウリ党は事実上解体状態になっており、今のところ野党ハンナラ党に一歩リードされている。 そこで“統合新党”が考えた挽回策が、盧氏訪朝による南北首脳会談だ。2000年6月の第一回南北首脳会談は共同宣言で、「連合制と連邦制の混合方式」による統一法案の合意であった。これは韓国憲法に違反し、北朝鮮と同じく左傾化することで反国家的・反米的な国家とするものだ。 つまり第一回南北首脳会談で合意した内容は、両国首脳が対南赤化統一を目指すもので、韓国を北朝鮮に売り渡すに等しいとの見方が大勢だ。北朝鮮主導による南北統一を目指す金大中、盧武鉉両政権の狙いは韓国の北朝鮮化である。特に盧政権の強引な左傾化政策は、任期終了4ヶ月前を控えて露骨な動きが見えてきた。 金正日に忠誠を誓う人たち 韓国では、歴代政権が60年余り脈々と築いてきた産業化、言論の自由、私有財産権、民主的なルールを無視し、メディアを用いて国民を扇動し、民主国家から共産主義国家に転換を図る動きが顕著だ。盧大統領は金正日政権に対する屈従と忠誠を誓う政権であるかのようである。韓国メディアは平和主義を表看板にして、金正日氏を平和の神様へと神格化した。 盧政権が6カ国協議で、北朝鮮の核開発を停止させるどころか、必要な米や重油を援助してきたのは周知の通りだ。北朝鮮は韓国の確かな援助によって核開発と核保有を可能にしたといえよう。今では韓国の有権者の中で、10%近い金正日政権の樹立勢力と、10%近い同調勢力が猛威を振るっている。 韓国を共産主義国家に それでは保守系の勢力はどのくらいなのか。各調査資料による平均値は30%前後とみられている。残りの50%が無党派層というわけだ。全斗煥や盧泰愚の時代、筆者には韓国にたくさんの友人知人がいたが、金泳三政権以来左翼政権となり、筆者の情報源や活動の場が縮小された。韓国では大統領の権限が圧倒的に強く、大統領次第でどうにでも変わる国柄だからである。 このように盧政権は左傾化と親北政策で、韓国をすっかり共産主義国家に塗り替えようとする革命政権になった。その革命とは、自由と民主主義、人権を尊重する自由民主社会を、メディアを用いて壊そうと画策するものだ。反対する新聞には規制を加えると脅し、今日の体制や価値観を変えてきた。 北朝鮮は金正日氏が絶対的な権力であり、彼に忠誠を誓うのが国民の義務と責任である。表面で「平和主義」を唱えながら、その実態は気に入らない国民を監視・拷問・虐殺で抑制・弾圧し、一日二食にやっとありつける国民を大量に生み出した。12月の大統領選では、ハンナラ党の李氏の当選によって韓国は救われよう。 日本の孤立化 今、6カ国協議の情勢は北朝鮮に有利になっている。中国と韓国が北朝鮮に経済支援を行ってきたが、ブッシュ政権が対北融和政策に転換したことは大きい。ロシアは6カ国協議に参加しているが、意見も述べずに沈黙を決め込んでいる。 残る日本は孤立化に向かっているかのような印象を与える論調が、大手を振ってまかりとおる。しかも北朝鮮の対日政策は、日本の孤立化を狙うものにほかならない。米政権の対北政策転換や自民党参院選の敗北は、北にとって有利に作用した。日本の安倍政権による北朝鮮や朝鮮総連への締めつけは効果をもたらしている。北にとって拉致のツケは大きく、安倍政権の対北強硬政策は大きな痛手だ。 しかし今後の6カ国協議で、北朝鮮は中韓の反日感情や歴史観を表看板にして「対日強硬政策」に打って出ると見られる。日本への威嚇の後で対日穏健政策へと変わるのは、日本の経済支援と賠償金が目的だ。考えてみれば韓国や米国も、金正日氏の権謀術数に振り回されてきたが、安倍政権だけは毅然とした態度を示している。 大統領選への戦略 筆者は弊誌で「盧大統領を取り巻く人脈並びに政界や政権中枢に入り込んでいるのは北の工作員や韓国の左翼人士で、彼らが連合してついに青瓦台を掌握した」と述べてきた。これは金泳三政権時代から始まった。彼らは80年代後半から韓国の言論や教育、市民団体、労働団体、行政機関に深く食い込み、盧時代には政権中枢へと入り込んだ。 12月の大統領選は「金正日か韓国保守か」の命運を賭けた戦いになる。ハンナラ党の李明博VS左翼候補の戦いは、とんでもない事態に発展するかもしれない。 今まで南北両首脳が演出してきた“平和主義”は、韓国を北朝鮮の支配下に置くことが明白になった。左翼系人士の見事な戦略で、韓国の有権者は何度も騙されてきたが、がんばれ、韓国内の保守系たちよと言いたい。12月の選挙は貴国の将来を決する大統領選なのだ。 以上、日本を取り巻く国際情勢/山本善心の週刊「木曜コラム」をご紹介しました。 時局心話會 代表 山本善心氏です。とらのこどものお勧めです。 メールマガジン「週刊木曜コラム」読者登録(無料) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.09.19 13:29:19
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