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北朝鮮と連動するシリア空爆
━━━━━━━━━━━━━━━━ ニューヨーク・タイムズの”Israel Struck Syrian Nuclear Project, Analysts Say ”の記事は、九月六日のイスラエル空軍機によるシリア空 爆の対象は北朝鮮設計の原子炉だったと示唆した。 その原文は次のようなものである。 Israel's air attack on Syria last month was directed against a site that Israeli and American intelligence analysts judged was a partly constructed nuclear reactor, apparently modeled on one North Korea has used to create its stockpile of nuclear weapons fuel, according to American and foreign officials with access to the intelligence reports. この記事をCNNはいち早く伝えている。 アメリカのメディアはユダヤ系アメリカ人に独占されているといっても よい。なかでも今のアメリカのメディアをリードしているニューヨーク ・タイムズやCNNは、その傾向が顕著で親イスラエルの立場をとって いる。 もっともアメリカで隠然たる力を保持しているユダヤ社会は、パワー・ エリートを輩出しながら、大きく分けてネオコン的なタカ派と超現実的 外交を唱えるキッシンジャーら中道派が存在している。 9・11同時多発テロ事件によってブッシュ政権は、テロとの戦いを唱 えてネオコン主導によってアフガン戦争やイラク戦争を行った。しかし 皮肉なことに、戦争に勝利してもテロとの戦いはかえって激化した観が ある。 昨年秋以来、ブッシュ政権からネオコンが一斉に退場して、中道派のキッ シンジャー路線が浮上している。いずれもユダヤ社会のパワー・エリー トたちである。 米国の安全保障政策の最優先順位は中東政策であって、北朝鮮政策 ではない。 中東において力の均衡が破れるのは、イランやシリアが核を持つことで あろう。人口500万のイスラエルが2億のアラブ諸国との間で保ってきた 均衡が破綻する。 そのイランやシリアに北朝鮮が核技術を輸出するのは阻止せねばならな い。ネオコンは経済制裁を強め、力によって北朝鮮の金正日体制を崩壊 させようとした。 しかし経済制裁を日本とともに強化しても中国や韓国が北朝鮮を支援す れば、効果は半減する。制裁をかい潜って北朝鮮とイラン、シリアとの 関係は続いている。 キッシンジャー路線の中道派は北朝鮮との融和策によって核廃棄を迫り、 少なくともイランやシリアに対する核技術・ミサイル技術の拡散を阻止 する戦略をとっている。 たとえ北朝鮮の核廃棄が不透明なものであっても核拡散阻止が担保され れば、米朝の国交締結までひた走るであろう。 その最中に発生したイスラエル空軍機によるシリア軍事施設に対する空 爆である。この事件は九月六日以来、主として英国などヨーロッパ筋か ら様々な観測情報が出ている。ニュース・ソースはイスラエルであるこ とは想像できる。 重要なのはシリアの湊に入港した北朝鮮の船舶が積み荷を下ろして出港 後、イスラエルが偵察機にによって積み荷に行方を追って、搬入先を空 爆したと伝えられたことである。 これが事実とすれば、北京で6カ国協議が行われ、米朝直接交渉も行わ れた最中に北朝鮮が背反行為をしたことになる。 これを時系列でみてみよう。 9月18日に英紙デーリー・テレグラフは、北朝鮮の貨物船が最近、韓国 の国旗を掲げシリアの港に停泊した後、姿を消したと報じた。 この情報はイスラエルのデータ分析家であるロネン・ソロモン氏による ものだが、欧米メデイアが「イスラエル軍機が今月初め、シリアの核関 連施設を越境攻撃した」と伝えたので、空襲1日前までにシリアの港湾 に出入りした外国船舶を追跡したという。 その結果、5隻が浮上し1隻が北朝鮮に関係する「アル・ハメド号」と いう貨物船だったという。1,700トンのアル・ハメド号は、イスラエルが シリア北東部を攻撃する3日前に、シリアのタルトゥース港に現われ、 積み荷をおろして行方をくらました。 シリアやイランに対する北朝鮮の資材提供は、東支那海、マラッカ海峡、 インド洋を経て貨物船で行われているが、韓国旗を掲げて擬装するケー スがある。米国艦艇が韓国船を停止させ臨検することは、国際儀礼上も 出来ない。 とくにスエズ運河を通行する北朝鮮の貨物船は例外なく韓国旗を掲げて いるという。シリアのタルトゥース港に入港したアル・ハメド号は、そ の典型例である。 これに先立つ12日のニューヨーク・タイムズ紙にイスラエルの偵察機が 最近、シリア国内の核関連とみられる施設の写真撮影に成功したと伝え ている。米政府筋の情報である。 15日のワシントン・ポスト紙は中東専門家の話として、イスラエルがシ リア北部の「農業研究施設」を攻撃したとみられると報道。これにはイ スラエルがこれをウラン抽出施設とみており、攻撃の3日前に北朝鮮か らシリアに核関連機器が輸送されていたという情報を解説としてつけた。 さらに18日のニューヨーク・タイムズ紙は北朝鮮の貨物船がシリアの港 に入るのをイスラエル情報機関が追跡し、その貨物が運ばれた場所が攻 撃されたと報じた。だが「積み荷の中身は不明だ」としている。 この日にライス米国務長官はエルサレムに向かう機中で「われわれは北 朝鮮の政権の本質に関して幻想を持っておらず、最初から北朝鮮の核拡 散を懸念していた」と記者団に語っている。 このような経過を経て、イスラエル空軍機によるシリア空爆の対象は北 朝鮮設計の原子炉だったというニューヨーク・タイムズ紙の特ダネに至 っている。 当初は空爆そのものがイスラエル諜報機関の謀略という説があったが、 すでにシリアもイスラエルも公式に認めた。米国が懸念しているのは、 イランの核施設に対するイスラエルのミサイル攻撃であろう。 日本にとっても、この事件は対岸の火ではない。 以上、古澤 襄さんのメルマガよりご紹介しました。 杜父魚文庫ブログ すっごい奥深いブログです。皆さん、是非ともご訪問ください。 とらのこどものお勧めです。(ただし、上記ブログは未だ収録がありません。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.10.18 22:07:26
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