カテゴリ:わたしのお勧め
■人と草木の一生■
草木が春に芽ぐむことを「萌える」と言う。「萌える」は 「燃える」と同じで、火が盛んに起こった状態を指す。「仕事 に燃える」「燃える恋」などと、人が心の中で情熱を燃やして いる状態にも使われる。 人が最も燃える時期が「青春」だが、同様に春に草木の生命 力が盛んに燃えて、新しい芽を出すのが「萌える」である。 この後に、前述の「花盛り」を過ぎて、実が「なる」時期が 到来する。「なる」は人にも使われて、現在でも「大人になる」 「人となり」などと使われる。「なる」とは、そのものの生命 力が発現された状態を指した。 やがて人も草木も老いて、生命力を失っていく。植物では水 分を失ってしおれる事を「しなゆ」と言った。「ゆ」は自然に そうなる事をいい、「しぬ」は「萎(しな)える」、水分を失っ て、くたっとなった状態を指す。「しぬ」は、人間の「死ぬ」 にも使われているが、本来の意味は命が絶えた状態ではない。 植物の命が絶えるのは「枯れる」である。完全に水分が失わ れた状態を指す。「枯れる」の古語は「離(か)る」と言い、 人間で言えば、魂が体から離れることを言った。 体から離れた死者の魂は、「ねのくに(根の国)」に戻ると 古代日本人は考えた。「ね」は母なる大地である。そこから、 人も草木もまた「たね」を育み、「め」を出し、「はな」を咲 かせていくのである。 ■「生きる」「息」「命」■ 「生きる」「息(いき)」「命(いのち)」は、どれも「い」 で始まっている。「いきる」の古語は「いく」であるが、これ は息(いき)と同根である。息をすることが、生きることであ る。だからこそ、息をする器官である「鼻」が、顔の中心だと 考えられたのである。 「いのち」の「い」は、「生く」「息」と同じである。そのほ かにも、「い」は「忌(い)む(慎んで穢れを避けること)」 「斎(いつ)く(神などに仕えること)」など、厳かな意味を 持つ。 「いのち」の「ち」は不思議な力を持つもの、すなわち霊格を 表す言葉で、「おろち(大蛇)」「いかづち(雷)」「ちち (父)」などに使われている。生けるものの体内を流れる「血」 も、不思議な力の最たるものであった。この「ち」に「から (そのもの)」を合わせた言葉が「ちから(力)」である。 「ちち(乳)」も、生命を育む不思議なちからを持った存在で ある。 したがって、「いのち」は「忌(い)の霊(ち)」とでも言 うべき、忌み尊ぶべき霊力である。そのような尊厳ある「いの ち」が、草木や人間に宿っていると、古代の日本人は考えたの である。 以上は、■■ Japan On the Globe(559)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■ 国柄探訪: 「大和言葉の世界観」からご紹介しました。 http://archive.mag2.com/0000000699/20080803070000000.html ■転送歓迎■ H20.08.03 ■ 38,449 Copies ■ 2,906,730 Views■ 無料購読申込・取消: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/ とらのこどものお勧めメルマガです。日本人でよかった。 日本の心は、こうだったのかと教えてもらえるメルマガです。 記:とらのこども お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.08.10 02:00:44
[わたしのお勧め] カテゴリの最新記事
|
|