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ソウルの漢字地名から、韓国を考える2は、中国の立場の論説紹介です。
2005年1月19日、韓国漢城市市長の李明博は記者会見を行ない、漢城市の中国語名称を「首爾」に変更し、「漢城」の語は今後使わないことを宣言した。李明博の解説によれば、圧倒的多数の国家は“Seoul”という英文表記と似た発音を元にした呼称をしており、韓中両国の往来と交流が日増しに頻繁になっているなか、漢城という名称がもたらす混乱は次第に多くなってきている。 漢城市は一年以上意見を求め、新しい中国語名称として漢城に代わって首爾を採用することとした。 韓国はなぜ本国の首都「漢城」の中国語名称を変更したのか?韓国漢城市市長李明博などの韓国政府関係者の説明は比較的無理がある。たとえ「漢城」の中国語名称を「首爾」に変えたとしても、翻訳や慣習的使用において混乱が生じるという問題がある。まして、中国語の中の外国地名もすべてが発音を根拠として翻訳されたものではない。英国の牛津(オックスフォード)・剣橋(ケンブリッジ)などは完全に音訳ではないし、アメリカの塩湖城(ソルトレーク・シティ)、アーカンソー州の小石城(リトルロック)などはすべて意訳である。 「漢城」という呼称は韓国古代の歴史王朝の用法をそのまま用いたものである。1394年、李成桂は開京から漢陽に遷都し、正式に漢城(ハンスン)と命名した。この名称は中国語の中ですでに600年余り使われている。第二次大戦終結後、韓国は漢城を韓国語の「首都(Sieur)」とし、英語では音訳してSeoulとしたが、韓国の書面上の漢字は依然として漢城と書かれていた。そのため、韓国の今回の首都の中国語名称変更は、表面的に解釈するのはそれほど簡単ではなく、深刻な原因とその他の複雑な考察が必要であるといえる。 19世紀末の民族主義の発展にともない、韓国国内には正しく自民族文化の正確な認識と中国文化が韓国民族文化に与えた影響についての客観的評価ができなくなり、それいよって中国語文化の影響を離れようとする動きがあった。韓国は第二次大戦後、民族主義の思潮がいっそう発展し、法律の規定によって韓国の表音文字をもっぱら使うこととした。 1970年から韓国の小学校・中学校の教科書の中の漢字は消え、完全に表音文字を使うようになった。 韓国経済の飛躍にともなって、この種の極端な民族主義の雰囲気はさらに発展し、1988年ソウルオリンピック開会の前に、韓国政府はすべての看板の漢字表記を取り除く命令を下し、韓国の民族文化を強調しようとした。 しかし、1999年2月になって、金大中大統領はようやく漢字使用制限を一部解除する命令を下した。しかし、このような解禁措置に対して韓国国内には激しい反対勢力があった。彼らはこのような措置が漢字の氾濫を招き、韓国文字がなくなることを懸念している。 そのため、この意味においては、韓国が「漢城」という中国語名を改称したのは、この国の民族主義が新しい形勢のもとで継続し発展していることを示しているのである。 また、「漢城」は中国人が数百年前から今まで慣れ親しんだ名称である。それは韓国古代の祖先によるものであるが、現代の韓国人は自分たちの名称と思わず、中国の漢代を連想してしまうようだ。漢代について、一部の韓国人は正確な歴史認識が欠けており、漢武帝が朝鮮に設立した四郡を朝鮮半島に対する侵略だと考えている。 このため、一部の韓国人はこの名称にはよくない心情を持ち、わざわざ訳名を変えようとしたのだ。 したがって、このような意味においては、韓国政府が今回改名についてなした解釈は表面的なものである。これは国際慣例と国際的な交流の便という理由に加えて深層心理の心情があり、韓国に対する漢字文化の影響を取り除こうとする試みなのである。 これに対して、わたしたちは穏和で理解を示す態度をとるべきだろう。朝鮮民族は歴史上、日本の侵略の奴隷的酷使の苦しみを深く受けており、強力に朝鮮民族の文化を発揚して自身の民族文化の優勢な地位を高め、外来文化の影響を脱する努力をするのは理解可能かもしれないが、それをそのまま差し引いていいというわけではない。 また、一方で、韓国自身は自己の民族文化を保持発揚すると同時に、外来文化、特に広大で深く精妙な中国文化に対しては捨て去る態度を取り、善悪を問わずすべて拒絶している。実のところ、広大で深く精妙な中華文化が朝鮮民族文化を生み出し、発展させ、巨大な貢献を行なってきた。 具体的に今回の改名問題に対応する上で、韓国は自国の首都の中国語訳名を変更する権利を持っているが、中国その他の中国語圏の国家はその新訳名を受け入れるも受け入れないも独自に決定する権利を持っている。受け入れようと受け入れまいと、これは中国その他の中国語国家の有する権利であるから、韓国はそれを尊重すべきである。中国などのこれらの国家にとって、これは訳し方の問題だけではなく、歴史的慣習、経済費用など多くの面での問題を含んでいるのである。 □周永生(中国・外交学院教授) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.10.04 18:25:43
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