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米国の抱いた不快感
ジム・アワー氏は語る。日本の対応は米国の期待を悉く、裏切るものだと。 氏は米海軍出身、ワインバーガー元国防長官の下で日本担当補佐官として活躍。 リチャード・アーミテージ氏の片腕とも評される氏は、1988年にバンダービルト 大学公共政策研究所に日米研究協力センターを創設した。以来20年間所長を務め、 日米関係を見詰めてきた。 「日米関係は、日本人が考えるより遥かに深刻です」 日本の側には、北朝鮮をテロ支援国家指定から外した米国へは以下のような不満 がある。指定解除は北朝鮮の核保有を認めたことであり、日本は北朝鮮の核攻撃 の脅威に晒されている。日本周辺には、中国、ロシア、インド、パキスタンなど 核保有国が並んでいる。であれば、日本の安全保障のために、日本も核の備えを 整えなければならない。その方法としては、日米同盟をより堅固にして、米国の 『核の傘』を機能させる道がある。それには現在の非核三原則を二原則に変えて、 核持ち込みを可能にすることだ。 一方、日本では、アフガニスタンでのテロとの戦いの支援のためのインド洋での 水及び燃料の補給を続け、集団的自衛権の行使を可能にすることなどを急ぎつつ、 日本の安全保障を日本自身が担保出来るようにする必要がある。 究極的には核兵器を保有すべきか否かの議論を進めたほうがよい。こうした考え が日本にあると伝えていたとき、氏は米国側の感じ方は、そうした日本側の感じ 方より、遥かに厳しいと述べたのだ。もっとも親日的米国人の一人と言ってよい アワー氏はざっと次のように語っている。 「インド洋での海自の補給活動の継続問題が国会で議論されていますが、日本が 供給する油を米国側が素直に受ける気になりにくい状況が生まれています。アフ ガニスタン用に供給した油をイラクでも使っているのではないかと、日本側は質 しました。双方ともテロとの戦いです。米軍の艦船はその時々の状況で動きます。 この燃料はアフガン用だけと限定されれば、非常に使いにくい。米国側に、日本 は難しい、つき合いにくい相手だという思いが生まれているのは事実です」 2007年10月に、国会で質された石破茂防衛大臣(当時)は、日本が行なった800回 近い補給を目的外に使用したか否かを調査するとして、米国に問うた。米国は情報 を開示したが、かなりの不快感を抱いたというのだ。 更なる日米同盟強化を 日本の安全保障の観点から考えても、当時の議論は的外れだ。日本は中国に、他国 とは桁違いのODAを与え続けた。民生用支援と言いながら、実際にODAがどの ように使われたのかについては質していない。いま明らかになっているのは、日本 のODAこそが中国の膨大な軍事力の構築を助けてきたという事実だ。 また、日本が国連の安保理常任理事国入りを目指したときに明らかになったように、 国際社会で親中国派の勢力を作り、中国はそれらアジア、アフリカ諸国を束ねて、 日本に対抗した。中国がそれら諸国を束ね得たのはODAの効果だった。 日本の対中ODAが、アジア、アフリカ諸国への中国のODAにすり替わっていた 可能性もあるが、日本は一切、質そうとしない。日本の国益の視点、または同盟国 の視点でこうした状況を見れば、その矛盾は明らかであり米国の不快感も理解出来 るのだ。 「対日不満の根本原因は、どれだけ海自が懸命に働いていても、とどの詰まりは、 共に戦っているわけではないからです。海自の補給は軍事行動ではなく、商業的な 活動です。イラクのサマワでの陸自の活動も軍事行動ではありません。 決して日本は軍事的貢献をしないとなれば、いずれ、より信頼出来る相手を探さざ るを得ないと米国が考えるのも、当然です」 日本の給油もここまで過小評価される。だが、アワー氏も、太平洋分割支配の中国 提案を日本側にもたらしたシーファー大使も、問うているのだ。日本は信頼に足る 同盟国になる気があるのかと。 その気がなければ、米国は組む相手を変更する可能性さえある。 その可能性は、民主党政権が誕生すれば尚強まるだろう。 だからこそ、日本の努力が必要だ。まず、中国、北朝鮮などの脅威に備えるために 死活的に必要な日米同盟を実質的に強化することだ。集団的自衛権行使に踏み切り、 まともな国として、米国に「同盟相手が、価値観を異にする中国でよいのか。日本 以外にないはずだ」と自信を持って問い返せる立場に立つことだ。 以上は、櫻井よしこさんのブログより転載したものです。 http://yoshiko-sakurai.jp/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.01 13:22:27
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