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8月2日にアメリカはデフォルトして倒産国家になるという噂がありますが、アメリカは借金が返せなくなってドル札を大量に印刷してばら撒いています。最初はそれで金融危機は逃れることが出来るかもしれませんが、国家が大量に紙幣を印刷するようになれば人々は金を買ったり外貨に変えて持とうとする。そうしておけば来るべきインフレと通貨の暴落を回避することが出来る。
ドルやユーロの暴落の受け皿になっているのはスイスフランや日本の円ですが、スイスフランは規模が小さくて大量のドルやユーロの受け皿は事実上日本の円しかありません。日本も対抗して円を大量にばら撒けば銀行は現金で持っていても利子が稼げないから高金利の外貨建て債権を買わなければなりません。しかしそうなれば円も同時に安くなるのですが、それではドル安ユーロ安の意味が無くなる。 つまり構造的に見れば日本の円がドルやユーロの価値を支えていることになり、円が隠れた基軸通貨となっている。本来ならば日本を上回る経済大国になった中国が引き受けるべきなのですが、中国は人民元を自由化せずドルにリンクさせている。ドルが安くなれば人民元も安くさせている。本当に中国が経済大国なら人民元は高くならなければなりませんが、人民元は20%高くなっただけでも中国経済はダメージを負ってしまう。 それに対して日本の円は1ドル=360円から77円にまで高騰して400%以上も高騰しても日本経済は輸出競争力は衰えていない。1970年代の日本の自動車はポンコツ自動車でありアメリカの高速道路を走ればオーバーヒートするようなものだった。その後の改良によって日本は自動車大国になり、1万ドルでしか売れなかった国産車が4万ドル以上でも売れるようになったから円高でも平気なのだろう。 トヨタレクサスの最高級車は7万ドルで売られていますが、アメ車はガソリン価格の高騰で売れなくなりGMもクライスラーも倒産してしまった。故障知らずで低燃費な車なら高くても売れるわけであり、それは中古車市場を見ればもっとよく分かる。トヨタプリウスなどは品薄で注文しても半年待ちの状態だ。ならばアメリカ自動車メーカーも低燃費な車を作ればいいと思うのですが、アメリカの技術力ではそれが出来なかった。 中国が人民元の切り上げが出来ないのも、故障知らずで低燃費の車を作る事が出来ないからであり、中国でも日本車が高くても売れている。自動車は安くても故障ばかりしていては鉄屑であり売れなくなる。アメリカはガソリン自動車の普及と共に大帝国となり、ガソリン価格の高騰で帝国としてのアメリカは滅びようとしている。 だから8月2日にアメリカは倒産するのかもしれませんが、世界各地に展開しているアメリカ軍基地も閉鎖されるのは時間の問題だ。アメリカの国家経済を立て直すには軍事費を減らすしか道はない。いくら虚勢を張っても金がなければ軍事力は維持できないのであり、財政赤字と貿易赤字でアメリカは首が回らなくなっている。間に合わせにドル札を印刷して埋め合わせしていますが、アメリカの輪転機経済は8月2日に破綻する。 これらを前提とすれば、クリストファー・レインの「幻想の平和」で書かれているような、オフショワ・バランシング戦略を採用して、世界の勢力均衡で平和を維持しなければならなくなるだろう。アメリカは1991年のソ連崩壊以降、単独覇権主義と多極主義との戦略が競い合っていますが、単独覇権主義はアメリカの暴走で破綻しつつあります。 単独覇権主義の暴走は、イラク戦争やアフガン戦争の失敗でも明らかであり、毎月1兆円もの戦争経費はアメリカの経済破綻を早めるだけだろう。その結果、アメリカの戦略は大幅な縮小を迫られるだろう。東アジアに関しては日本ー韓国ー台湾ーフィリピンのラインから、アラスカーハワイーオーストラリアまで防衛ラインを後退させる。 日本の戦略的な価値も、ソ連が対象の時は重要だったが、中国を対象とするときは近すぎるし北に偏りすぎている。だから近い将来は日本の核の傘もなくなり在日米軍基地も有名無実な存在になる。日本のアメポチたちはアメリカの国力は変わらないとしてアメリカに頼りきっていますが、それは幻想に過ぎない。国防費が削られれば軍艦も軍用機も大幅に減らさなければならない。 中国の経済的な台頭も日本にとっては脅威になりますが、アメリカの伝統的なバランスオブパワー戦略から見れば当然のことであり、日本を押さえ込むには中国を改革開放で経済発展させて日本に対抗させなければならない。90年代から米中による日本封じ込め戦略が行われてきたのですが、日本の戦略家でこの事に気がつく人はいなかった。 岡崎久彦氏や森本敏氏などがアメポチの代表ですが、アメリカに従属していれば安全と言うおめでたい戦略だ。しかしバランスオブパワーの戦略から見れば日本の台頭を抑えるには中国を使い、中国の台頭を抑えるには日本を使うのは当然の戦略であり、時と場合によればアメリカは中国に味方する。 90年代からの米中による日本封じ込め戦略は、日本の長期的な停滞を招きましたが、日本はこれに対抗する戦略を持たなかった。日本にはキッシンジャーやブレジンスキーに対するカウンターパートがいなかった。そこに彗星のごとく現れたのが「株式日記」であり、アメリカ金融帝国主義は日中共同の敵であり、「日本は中国、アジア諸国と手を組んでアメリカ金融帝国主義と対決するべきと思います。いつまでも金融を使った略奪行為を止めさせなければなりません。」と1998年6月16日に書きました。 アメリカの戦略としては、中国は経済発展すれば韓国や台湾のように民主化して独裁体制が崩れると見ていたのでしょうが、経済発展と独裁制度は対立せず開発独裁国家となった。最近では20年後にはアメリカを上回る超大国になるという予想が出てきましたが、8月2日のアメリカ破産でそれはもっと早くなるだろう。 中国の台頭とアメリカの破産は、日本の真の独立を求められる時であり、アメリカは自発的にアジアから撤退して行くだろう。田中宇氏の記事にあるように、アメリカは1970年代に日米欧の三極構造を構想した。しかし日本は核武装もせずアメリカ従属の道を選んだ。日本国民にもその覚悟は無かったし、それだけの戦略思想を構築できる人材もいなかった。 アメリカがクリストファー・レインのオフショア・バランシング戦略をとった場合、アジアにおいては日中が対立した形となりバランスをとることになるだろう。その為には日本の核武装が不可欠となる。しかし国内においては核武装はいまだにタブーであり、核武装を主張した中川昭一は不可解な死を遂げた。しかしアメリカ国内においても日本の核武装を主張する人も出てきて、クリストファー・レインもその一人だ。 日本の核武装を認めなければ、日本は自動的に中国の属国となりアメリカと対抗するようになる。90年代からのアメリカによる日本たたきは、ブレジンスキーの戦略であり、オバマ大統領は米中によるG2体制を呼びかけた。その結果日本では民主党政権が出来て鳩山内閣では沖縄米軍基地の海外移転を模索するようになった。アメリカが日本たたきを続ければ結果的にそうなる。 『日本やドイツが、アメリカから(不当に)「二重の封じ込め」を仕掛けられていること』は「平和の幻想」でも書かれているということですが、本来の同盟国である日本よりも中国をG2同盟国として選ぶような間違いをリアリスト戦略家は間違いを起こす。オバマのG2発言はアメリカ国内からも批判を浴びましたが、日本のアメリカ離れを促す結果となり、オバマは中国対する姿勢を変えざるを得なくなった。 アメリカがアジアから撤退すれば台湾や韓国はどうなるのだろうか? 韓国や台湾は自発的に中国の勢力下に入るのだろうか? もし台湾が中国に併合されれば西太平洋の覇権は中国のものとなり、日本も自動的に中国の勢力下に入らざるを得ない。それはアメリカにとって利益なのだろうか? むしろ日本に核武装を認めて韓国と台湾を守らせる選択をするだろう。 以上は、「株式日記と経済展望」より転載です。 http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/664da5ea0ad890cef519cfda9e48d6c9 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.07.30 12:42:40
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