空からオタマジャクシが
オタマジャクシが空から降って来た,というニュースを朝日新聞で読んだ.場所は石川県.竜巻のような自然現象のせいなのか,それとも鳥が食べたものをまとめて吐き出したのか? 不思議な現象だな,などと感心?していたら,翌日の同紙には,こんどは小魚が降って来たと書いてある.- ライトバンの荷台や側溝でフナとみられる3~5センチの小魚(中略).拾い集めると10匹ほど・・・ 記事のタイトルが面白い.「オタマジャクシのち小魚? 鳥か竜巻か 深まる謎 石川」. う~む.コレはまだまだ続くかも,と思っていたら,やはり.その翌日にも同じ話題.「空から**狂騒曲.石川県で相次ぐミステリー」だそうな(**の箇所にはオタマと小魚の小さな写真が貼ってある).しかし今度は新情報はありません.その方面に詳しそうな人の意見とか,いろいろな憶測ばかり.どうやら新聞社のほうも真面目に原因を追求する気はないらしい.不思議なできごととして,いやし系の話題で終わってしまいそうだ. こういう情報の常として,憶測と議論ばかりが先行して新情報が出てこない.出てくるとすれば「こんどは××で同じような事件が」というような報道ばかり.話は横に横にと拡がるけれど,深まることはまずない. たとえば「フナとみられる」魚は本当にフナ(ギンブナ)だったのか.ギンブナ以外の別の種類の魚は混じっていなかったのか.魚の種名を真面目に調べようとした形跡はない.10匹程度なら「3~5センチ」の正確な内訳をリストアップすることもできる.魚の胃内容物はどうだったのか.降って来たという魚を保存しておけば,調べ方によっては魚の出身地を推定することも可能かもしれない. たとえばオタマジャクシは,その形態からカエルの種類を推定することも不可能ではない.オタマジャクシの齢(孵化して間もないものから足や手が出ているものまでありうる)は均一だったのか,それともいろいろな齢のものが含まれていたのか? 鮮度はどうだったのか.空から地上に叩き付けられて死んだのか,一度冷凍されたような形跡はないのか. 疑問は次々と出てくるんだけど,1つとして真面目に調べようとした形跡がない. 新聞は話のネタを提供しているだけ.みんな楽しんでるんだから,それで良いでしょう?という声が聞こえてきそうだ.たしかに,「北朝鮮が風船にオタマジャクシを仕込んで飛ばしているんだ」などという話になってないだけマシかもしれない. しかし,これがオタマジャクシでなく,たとえば「クマに襲われた」などという話だったら,いやし系では済まされない.旧来のマスコミ情報をみる限り,クマに襲われたという話も,今回のオタマジャクシ騒動と同じように扱われているように思う.つまり「こんどは××でクマ被害が」というような報道ばかりが繰り返される.襲われた原因の解明につながるような細かい分析がなされた形跡がない. どうやら動物関係の新聞記事は,明治の文明開化の頃からあまり進歩してないらしい,と思っているのは私だけだろうか.