手の中の陶器
こんな音楽がありました.You can make the monster live again ... ... ...Don't wish too hardYour dreams are china in your hand怪物をよみがえらせてしまうかもしれない ... ... ...あまり強く望んではいけない君の夢は手の中の陶器 1980年代のヒット曲です.英国のグループ,t'Pau の "China in Your Hand". なお,たぶん china は「陶器」というよりも,透明感のあるデリケートな「磁器」というイメージでしょう. さて何の話でしょう.そうですね,沖縄の米軍基地です. (<何でそーなるのっ?) 最近テレビでよく槍玉にあがっているのが,基地問題に対する鳩山内閣内の足並みの乱れ.北沢さんはこう言った.岡田さんはこう言っている.福島さんは,鳩山さんは,・・・ 方針がバラバラじゃないか.ハッキリしろ.と,ここぞとばかりマスゴミ様がお叱りになっています.昔の与党や官僚なら,まだ何も決まってないことを理由に,ノーコメントで通すところ.今の閣僚は皆さん正直だな~と思います. それにしても基地問題.困ったことです. この You Tube を教えていただきました.http://www.youtube.com/watch?v=y9GZ-COUDXU&feature=related(狙われた海~沖縄・大浦湾 幻の軍港計画50年) 琉球朝日放送の番組だそうです.「ひねもすのたのた」さん,ありがとうございます.この情報も含め,普天間基地の移設問題について,少しなぞってみます.間違いがあればご指摘ください. 1960年代,沖縄では基地反対の気運が盛り上がり,大浦湾に設置したかった基地を米軍は断念した. 時は流れ1995年,米兵による少女暴行事件をきっかけに,基地反対の声が大きくなった.米国側との交渉の結果,時の橋本内閣は普天間基地の全面返還を発表.ただし,その条件として「海上ヘリポート」の設置を米国に対し約束した.そして間もなく,その設置場所として名護市辺野古のキャンプシュワブ沖が有力となる. 辺野古とは,つまり大浦湾である.米軍は最初の計画から30余年を経て,基地を最も造りたかったその場所に,大手を振ってヘリポートを設置できることになった. このヘリポート計画に反対という人は多いと思う.しかし,こういう言い方は反発を買うかもしれないけれど,当時の選挙の結果だけを見ると,名護市民も沖縄県民も,この移設計画に(僅少差ながら)ゴーサインを与えてしまっている.その背景には住民の生活の問題もあっただろう.ダム問題と同質の「補償金」の問題もあったかもしれない.住民はここでも札束で頬をなでるような手法で,基地移転に賛成するよう誘導されたのかもしれない.いずれにせよ,たいへん残念な選挙結果であったと言うしかない. 鳩山さんはどうしたいのかハッキリさせてくれ,と沖縄の知事さんが言っている.これは順序が逆である.沖縄県民は本当はどうしたいのだろう? 思うに1960年代には頑として基地に反対を貫いた愚直な人々,いわば聖人君子がたくさんいた.しかし1990年代ともなれば人々はみんな利口になった.どんなに反対しても大きな力には勝てない.それよりも自分の生活を少しでも良くしたい.そう考える「普通の」人間が増えた. ちなみに私も普通の人間です.自分自身に置き換えて考えてみても,命を削ってまでして聖人君子を貫くなんて,とても無理だと思う. もちろん「大きな力」の側はそういうことはお見通しである.だから「普通の」人間の最も弱いところを突いてくる.札束をちらつかせ,人間の尊厳を踏みにじりながら,粛々と事業を進める.それが自民党政権とその走狗である役人たちの手法であった. 鳩山内閣は逡巡している.私はそれで良いと思う.沖縄の基地問題は,何か話をするたびに出てくる「頭の痛い問題」として,くりかえし米国側に認知させることが必要だ.事を急いではいけないと思う. 基地問題は「手の中の陶器」なのだ.事を急いだら,「怪物」をよみがえらせてしまうかもしれない.民主党の主流は憲法改正論者であることを,今ここで改めて思い出しておきたいと思う.