「専門家」を信用できない時代
「専門家」は信用できない.これは今や日本の常識になってしまいました. 以下は,ブログ「浦戸湾」2011年04月07日の記事です.この頃には,まだ「専門家」の言葉を信じる人はけっこういました. * * * 福島原発関係の問題がスッキリしません.「安全」ばかりを繰り返すマスコミ.簡単に洗脳されてしまう日本国民.その仕組みの中で,大学は本来はたすべき役割を果していないように思います. というわけで,今回は大阪芸術大学の純丘さんという方の記事を転載します.転載元は:http://www.insightnow.jp/article/6430です. 正論を述べるジャーナリストが解雇されたり,ブログが不自然に閉鎖されるなど,「言論の自由」をめぐる環境が先行き不透明なので,ここでは全文を転載しておきます.(以下転載)=============================東電のカネに汚染した東大に騙されるな! by 純丘曜彰 2011年3月27日 03:54/寄付講座だけで、東電は東大に5億円も流し込んでいる。一方、長崎大学は、その買収的な本性に気づき、全額を東電に突き返した。水俣病のときも、業界団体は、東大の学者を利用して世論操作を行い、その被害を拡大させてしまっている。いま、同じ愚を繰り返してはならない。/ なんと5億円! 寄付講座だけでも、これほどの大金が、東京電力から東京大学大学院の工学研究科にジャブジャブと流し込まれている。これは、東大の全86寄付講座の中でも、単独企業としてあまりに突出した金額だ。(詳細データ http://www.u-tokyo.ac.jp/res01/pdf/20110301kifu.pdf 本記事のコメントも参照せよ) 東大だけではない。東工大や慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京電力は現ナマをばらまいている。これらの東京電力のカネの黒い本性は、2002年の長崎大学大学院で暴露された。そもそも東京電力が、自分の管区とはほど遠い長崎大学に手を伸ばしたことからも、手口の異様さがわかるだろう。 長崎大学医学部は、戦前の官立六医大の一つという伝統を誇り、その大学院医学研究科を2002年4月から医歯薬学総合研究科へと発展させることになった。ここに突然、東京電力が、9000万円で講座を寄付したい、と言い出した。テーマは、低線量放射線の人体影響。そのうえ、その趣意書からして、原発推進とも受け取れる表現が踊っていた。これに対し、当時の学長、池田高良(まさに被曝腫瘍が専門)は、趣意書の書き直しのみで、カネの受け入れを強行しようとした。 このため、学内外から猛烈な反対論が沸き起こり、夏には混乱の学長選となった。おりしも、東京電力は、福島第一原発三号機で、炉心隔壁のひび割れの事実を伏せたまま、97年にむりに交換し、二千人近い作業員にかなりの被曝をさせ、その後もこの事実を隠蔽し続けていたことが、ようやく発覚した。もはや、なぜ東電が被曝後遺症を扱う池田学長に唐突に大金の話を申し出たのかは明白だ。かくして、代わって斎藤寛(公害問題が専門)が学長に当選。長崎大学は、9月に臨時教授会を開き、東京電力の寄付講座受け入れを取りやめ、すでに大学側に振り込まれていたカネ全額を東京電力に突き返した。 1956年に水俣病が発見された際、地元の熊本大学は、ただちに現地調査を行い、有機水銀が原因であることを特定し、チッソに排水停止を求めた。ところが、日本化学工業協会は、東大教授たちに水俣病研究懇談会、通称「田宮委員会」を作らせ、連中が腐った魚を喰ったせいだ、などという腐敗アミン説をでっち上げ、当時のマスコミも、この東大教授たちの権威を悪用した世論操作に乗せられて、その後も被害を拡大し続けてしまった。 いままた、同じ愚を繰り返すのか。「核燃料70%の損傷」を、燃料棒292本の7割、204本のそれぞれにほんの微細な傷があるだけ、などという、アホな詭弁解説をまともに信じるほど、いまの国民はバカではない。なんにしても、テレビで口を開くなら、まず、東京電力から受け取った黒いカネを、全額、返してからにしろ。 テレビもテレビだ。公正、中立、客観を旨とする以上、解説を学者に頼むなら、原発賛否両方の学者を公平に呼べ。調べるプロなら、連中のウラ事情ぐらい調べておけ。====================(転載おわり) 例によって記事の内容について詳細をチェックしたわけではありません.単なる紹介ぐらいの程度にご理解ください. なお,コメント欄に次の記述がありました.純丘さんご自身によるコメントで,上記の記事を書かれた大きな動機ではなかったかと推察します.(以下転載)====================この十年来、大学というものが、公的補助金の削減とともに、どこもかしこも「産学協同」を言い、外部資金調達を当然のことのように推し進めてきたやり方は、研究者倫理としてあまりに危うい問題を含んでいると怖れています。そして、とくに東大は、極端だった。もちろん、大学もまた、社会の中の存在として、その専門の知見や技術を積極的に社会に生かすのは当然です。しかし、研究の結論に直接的な利害関係のあるスポンサーがつき、その意向によって予断と期待が加えられ、客観多面的であるべき研究が一辺倒となるのでは、真理に基づくべき理念を根底から崩し、社会からも信用を失ってしまいます。今回の震災と事故は、東電や東大、行政や政治家だけの問題ではありません。それぞれに、自分の本分とは何だったのかを問い返す、大きな関門だと思います。=====================(転載おわり) これは非常に重要な問題意識です.テレビのニュース番組などで見る「専門家」による解説が,これほどまでに信用できない時代となってしまいました.日本の未来に暗雲がたれ込めている気がしてなりません.