「流れ星が消えないうちに」 橋本紡
恋人が死んで、と言う設定の割に、どこか優しい感じのする。この著者は、優しい人なんだなぁと言う気がした。高校時代から付き合っていた恋人・加地君が自分の知らない女の子と旅先の事故で死んでから、1年半。奈緒子は、加地の親友だった巧と新しい恋をし、ようやく「日常」を取り戻しつつあった。ただひとつ、玄関でしか眠れなくなってしまったことを除いては――。深い悲しみの後に訪れる静かな愛と赦しの物語。なぜに玄関?玄関開けたら、すぐ布団なんて、なんて合理的!?家=寝る場所というのを見事に体現してしまっているなんて合理主義なお方なんだろう。うわこれぞ、超ビジネスマン!?と思いきや、ヒロインは学生さんでした・・・。orzでも一度も、学校に行くシーンがなかったような・・・、春休み?とにかく、なぜに玄関でしか眠れないのかという理由はあまり本人も理解しておらず、そのきっかけが分かって悲しい気持ちになったり、切なくなったりはするのですが、フィクションだし当事者じゃないから、誰かが死んだ事に対してはなんとも思わないんですね。それに重要なのは、恋人の死、親友の死を彼彼女がいかにして受け止めるかが、重要なテーマだし・・・。大切な人が死ぬ、病気で死ぬは、ドラマでは定番の泣けるテーマではあるのだけど、そういう定番とはまたちょっと違う雰囲気の話ですね。<俺そんなベタな話嫌いやし。残された人がどうそれを克服し生きていくのかと言う重苦しいテーマのようなんだけど、それともちょっと違う感じがする、なんとも言えない、優しさに満ちあふれたお話です。初、橋本紡!?私は橋本紡さんの本を読むのは、これが初めてなんですね。橋本紡さんと言えば、「半分の月がのぼる空」が一番有名だと思うのですが、有名だけにスルーの方向だったので、ちょっともったいない事したかな?うーん、一般文芸の人には橋本紡さんはどれ位受け入れられているんだろ?特に、細やかな表現や、日常の何気ない出来事、ちょっとした優しいレシピそんなエッセンスが、うまい具合に混ざり合っていて、何かとても優しい気持ちになるそんな部分が私は好きですね。癒し系?プラネタリウムでの告白も、フォークダンスのシーンも、月夜の散歩も、みんな好きです!?「半分の月がのぼる空」も読もう!そのうち・・・。とにかく、一度玄関で寝てみるのもいいかもしれない。<狭いよ!?流れ星が消えないうちに著者:橋本紡出版社:新潮社発行年月: 2006年02月サイズ:単行本/281p本体価格:1,400円 (税込 1,470 円)