「Sweet Blue Age」 有川浩・桜庭一樹etc
「すべての偉大なる作品は、青春文学なのだ」野性時代のこの断言に感応し、七人の作家が全身でとらえた、甘く、憂鬱な、「あのころ」の物語。嘘 だ ッ !!!全然、Sweetじゃねぇ!?何せ主要人物が、婚前、OL、厨房、ニート、ジューシー、辻斬り、酒豪と来たもんだ!?青春って一体なんだ?と言う感じの、最も鮮烈な7人の書き手がおくる青春文学の寄せ集めです。ベスト・トラック集ってのはいくらなんでも言いすぎです。GyaOに訴えられるよ。何せ主要人物が、婚前、OL、厨房、ニート、ジューシー、辻斬り、酒豪だから。もう、関連性も繋がりも何にもないと来た。でも、かなりの良作です!?5/7の割合で気に入りました。ぶっちゃけ、ライトノベラーだから、桜庭さんと有川さんだけでいいやと思うのは間違い。むしろ、ライトノベルから違うジャンルに気移りしだした方が、桜庭さんと有川さんを餌に読み始めるのが、吉。あの八月の、(角田光代)夜の大学に忍び込んだ二人の女性が、かつて仲間たちと撮ったフィルムを見ながら、青春時代とただ淡々と語り合うだけのお話。ただ淡々と語り合うだけのお話。と言うところがミソ。もうとにかく、あの頃は私らも若かったと、若気の至りを語り合うだけの話なんだけど、すっごく印象に残るお話でございました。クジラの彼(有川浩)クジラに乗った青年もとい、恋人は自衛官と言う、とにかく究極の長距離恋愛を描いた作品なんだけど、自衛隊マニアの有川浩さんと言うより、著者ののろけ話を聞かされているようななんかもどかしい雰囲気にさせられてしまうのは、一体なんなんでしょう・・・?もうなんかマジのろけ話?もうなんか、ハッピーエンドは予測済みだから、デンパの届かない長距離恋愛が、もどかしくてもどかしくて、とにかくむかつくボンボン上司のなにこれ、セクハラ?むしろ、パワーハラスメント?みたいな嫌がらせは辛くて辛くて、あんたみたいなのは、海老に食べられちゃえばいいんだわ。みたく思っちゃうくらい、なんかこれいいよねと思わされました。あの話とこっそりリンクしてる所が実に良く、そのうちハードカバーも読んでみようと思ったッス。涙の匂い(日向蓬)田舎の文化と風景の描写は大変すばらしく、昭和の香りが漂う、どこか懐かしい感じのするお話でした。が、なんかただの、思い出話?ヤマなし、オチなし、イミなしを絵に書いたような作品の様に思えて、だらだらと書いている割に、テーマに一貫性があるように思えなかった所が残念です。ニート・ニート・ニート(三羽省吾)もう見たまんま、3人のニートが・・・と言うお話なのですが、Damnedの『Neat, Neat, Neat』と言う曲と引っ掛けているところが実に面白く、短い話なのだけど、テンポが良く、アレな登場人物の掛け合いも面白く、それでいて、きっちりとしたテーマを掲げ締めくくるまとまりがあるナイスな作品!?ホテルジューシー(坂木司)まあ、なんちゅうか、この本を買った本当の理由がこの人の作品を読んでみたかったという理由。恐るべしアマゾン。夏休みと言うヒマをもてあましたヒロインが、石垣島のホテルで旅行気分を満喫しながら、アルバイトするという話なのだけど、なぜか、沖縄の「ホテルジューシー」に手伝いに行かされたのが運の尽き・・・。とにかく「ホテルジューシー」は変な人だらけ、変な店長代理とか、奇妙な双子のお婆ちゃんとか、挙句の果てに先輩アルバイターのとんでもない事、とんでもない事。嘘 だ ッ !!!そんなアルバイターいちゃいけないとツッコミまくり、爆笑しまくり。結構いい話っぽさと、おかしさがなんとも言えませんでした・・・。とりあえず、今度デビュー作を読んでみましょう。でも、この続きも是非読みたい。辻斬りのように(桜庭一樹)辻斬りのように、ただひたすら強いものを求めて、日々ストリートファイトを繰り広げるヒロインの方が、桜庭さんっぽくて好きかも?その方が、おもしろいから!?違うから・・・。でも、ある意味、衝動的にひたすら強いものを求めて、日々戦いを繰り広げるヒロインってのはあってるかもしれない・・・。とにかく衝動的な話、よく分からないって感じがするけど、良くわからないと思うような内容に作りたかったんでしょうね。話の中に、七竈と言う木が出てくるのですが、これと、「少女七竈と七人の可愛そうな大人」と言う話には何らかの関連性があるのではと思ったら、プロローグでした・・・。orz夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦)武勇伝!武勇伝!ぶゆうでんでんででんでん! と言うフレーズを思い出してしまうような、痛快さが魅力の、少女酒豪伝説。先斗町で繰り広げられる、大人の世界。ひと時の出会いあり、また、別れあり。最初は300円均一のカクテルバーだったのが、「偽電気ブラン」と呼ばれる幻のお酒を求めるうちに、あれよあれよと出会いが、出会いを生み、多くの人を巻き込んでのドンチャン騒ぎに発展していき、後半はなんか、幻想的な雰囲気を持つ不思議な魅力に引き込まれていってしまいました。って、それ酔っ払ってるだけですから!?何と言うか、青春文学といっても人それぞれだなと思える。30代には30代の、40代には40代の、50代には50代の青春がありますってな感じか?(wとにかく、期待していた作家が、ものの見事に大当たり、期待していなかった作家も予想外に大当たりだったり、そうじゃなかったりした訳ですが、いま、最も鮮烈な7人の書き手がおくる傑作選と言っても過言ではない。Sweet Blue Age著者:有川浩 etc出版社:角川書店発行年月: 2006年02月サイズ:単行本/374p本体価格:1,400円 (税込 1,470 円)感想リンクのべるのぶろぐひなたでゆるりbooklines.net積読を重ねる日々やっぱり本が好き